2020.02.03

布をめぐる手仕事の旗手たち 布博in Tokyo vol.13

2020年1月17日(金)から19日(日)の3日間、町田パリオ(東京都町田市)で『布博in Tokyo Vol.13 Week1刺繍に恋して』が開催されました。

【公式サイト】http://textilefabrics.jp/202001/

2020年1月17 日(土)から19日(日)までの3日間開催された、布博in Tokyo Vol.13 Week1 刺繍に恋して

主催は手紙社。同社は〝イベント″〝雑貨″〝カフェ″の3本を主軸に、独自の切り口で手仕事の担い手を紹介する一方、クリエイティブでアーティスティックな世界観を展開しています。

開催8年目を迎える布博in Tokyoは今やもうすっかり季節の風物詩となりつつあります。イベントに足を運ぶファンたちの目は肥え、陳腐化したコンテンツでは飽きられてしまう。むしろ、手紙社の企画力が問われる事になっているのですが、それを見事にクリヤしていると言えるでしょう。

令和になってから同社のスタートとして始まった布博in Tokyoは2週連続での開催。Week1では刺繍にフォーカス。気鋭の刺繍作家や刺繍アーティストが集まり、作品の展示即売が行われました。

会場は詰めかけた客でいっぱい。身動きが取れないほどだ。

同時に〝素材博″と銘打って、刺繍やハンドクラフトに関する資材や材料などが別途購入できる機会も。

素材博は変わり糸やアンティークボタンなどがこだわりの素材ショップから直接購入できる。

クリエイターとアーティストが集う会場は、その手業が光る逸品がそろいました。とにかく魅力的な作り手ばかり。よくまぁこれほどの人たちを引っ張ってこれたよな、と感心しきり。手紙社の企画力、すごすぎです。

今回はその中でも記者が特に気になったクリエイターとアーティストをご紹介します!

描く手法がたまたま刺繍だった -OKADA MARIKO-

刺繍は単なる道具。刺繍は独学。心のままに、色をキャンバスに刺していく。

女子美術大学でグラフィックを専攻。在学中に、自分の内面を表現する手法を模索していました。その時しっくりとくる手法が刺繍だったと。ですからステッチなどは非常にシンプルです。もしかしたら、自身の駆使する刺繍が文化刺繍であること以外、ステッチの種類や名称などにも疎いかもしれません。

ペインティングステッチは絵筆の代わりに刺繍針と糸を使います。キャンバスに日本画で使用する顔料を施し、そこに自分の描きたい世界を刺していくのですが、手に触れてみると、そのやわらかでしなやかな曲線が自由に描けるほど、キャンバスはやわらかくはありません。むしろカチカチ、かなり硬いのです。

ブースでは刺繍作品のほか、刺繍作品を印刷したマスキングテープなども販売されていた。

描く手法も、世界観も完全なオリジナル。ほかには類を見ません。肩書がクラフト作家ではなくアーティストであるというのもうなづけます。

彼女の活動の場は主に個展。ハンドクラフトのカテゴリーにはくくれないため、ハンドクラフト系のイベントへの参加はほぼありません。手紙社でのこのイベントくらいではないでしょうか。
彼女の作品は実に繊細でアーティスティックな要素が高く、確かに手芸の枠では縛れない。個展を中心に活動しているので、見事にその目で直に作品を見ることをお勧めします!個展情報は彼女のサイトで随時更新されています。

okada mariko

【HP】https://www.okadamariko-art.com/

【Twitter】https://twitter.com/okada_mariko

【Instagram】https://www.instagram.com/okadamariko_paintingstitch/

透ける布はまさにSkin(肌)。体温を感じる刺繍 ‐hoshi mitsuki-

シュールなモチーフを、スタイリッシュに表現するのがhoshi mitsukiの作風だ。

彼女の作品はまずその個性的で独創的なモチーフにあります。やわらかで真っ白な布のセンターにかわいらしいおっぱいを描いたり、すっと伸びた両脚に笑う膝小僧をあしらったり。時にはたわわに実った果実の一つ一つが奇妙な顔をしていたり。
日々の暮らしの中に顔をのぞかせる、生きていることの美しさや不思議さを、シンプルだけれど独特な線で描きだし、さらにそれをチェーンステッチで表現するのです。

彼女も刺繍は独学。その色合いも曲線も、やわらかで美しいのですが、モチーフは時にちょっとした翳(かげ)を持っているのも魅力と言えます。

一方、アーティスティックなフェーズが全面に押し出されたのが完全受注制で制作するリングピロー、〝skin/生きている肌″です。結婚する友人の一言から発想されたその作品は、まさに大切な人の肌に触れる、温かで官能的でさえある作品。

完全受注制で制作するリングピロー〝skin″。使用後は、夫婦になった日の記念として飾っておける。

皮膚を連想させるその生地の薄さから、糸が透けて見えることを見越して、糸の綴じ方、始末の仕方までもが美しくなされている。これは刺繍の技巧でもかなり高度なものと言えます。

彼女の中にある言葉にならない思いが形を持ち、色を帯び、作出されます。人肌のぬくもりを官能的に表現する彼女の世界観、直接その目で確かめてみてはいかがでしょうか。

hoshi mitsuki /星 実樹)刺繍家

【HP】https://www.hoshimitsuki.com/me

【Twitter】https://twitter.com/pippipipi_742

【Instagram】https://www.instagram.com/hoshimitsuki/

取材を終えて

布博in Tokyo vol.13でもすてきな作り手に出会うことができました。今後、ナンスカで彼女たちの作品や人となりにフォーカスし、継続して取材する予定です。

手紙社の手掛けるイベントはこのほか日本各地で執り行われます。それは特別な作品に出合うとっておきの時間。実際にイベント会場に足を運んでみてください。自分だけの運命の作品に出会えるかもしれませんよ。イベントの予定など詳細は手紙社のサイトに掲載され、随時更新されています。

手紙社

【HP】http://tegamisha.com/

【Twitter】https://twitter.com/tegamisha

【Instagram】https://www.instagram.com/tegamisha/

【Facebook】https://www.facebook.com/tegamisha/

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今井 美枝子

今井 美枝子

1965年生まれ。化学メーカーのテクニカルライターと車両板金塗装専門誌記者を経て、フリーランスライターへ。チームでインタビュー記事や企画など、コンテンツのプロデュースも行っています。

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