線香花火は絶滅危惧種?日本の花火文化を後世へつなぐ「筒井時正玩具花火製造所」

かとうかのこ
かとうかのこ
2020.10.02

夏の風物詩といえば、線香花火を思い浮かべる人も多いですよね。
家族とおばあちゃんちの縁側で、夏合宿の夜に友達と、好きな人と浜辺で…。
線香花火に思い出がある人は、私だけじゃないはず。

そんな線香花火ですが、現在そのほとんどが外国産というのは知っていますか?

今回は、私たちが気付かない間に絶滅の危機に瀕していた国産線香花火を絶やすまいと立ち上がった花火ブランド「筒井時正玩具花火製造所」をご紹介します。

日本の線香花火文化を守りたい

筒井時正玩具花火製造所

誰もが燃えきるまでの長さを競ったことがあるであろう線香花火。
「花火しよう!」と集まって、色とりどりの華やかな花火を楽しんで盛り上がっても、やっぱり最後はみんなでしゃがんで線香花火を眺めたい。

線香花火が終わるころには、楽しかったけど終わってしまう寂しさに、ちょっとしんみりしたりして。

ところが、時代と共に日本では安価な外国産花火が普及しはじめ、国産の花火生産は大打撃を受けることになりました。
そんな時代の波に押され、国内の線香花火製造は衰退の一途をたどり、1999年には国内唯一の線香花火の製造所が廃業を迎え、国産線香花火は無くなる運命でした。

そこで立ち上がったのが、福岡県で昭和4年から子供向け花火を作っていた筒井時正玩具花火製造所の3代目・筒井良太さん。
彼が廃業前の製造所で修行をし、伝統を継承することで、どうにか国産線香花火は今日まで守られてきています。

私たちは、線香花火のことをよく知らないのかもしれない

筒井時正玩具花火製造所

ん?ながいマッチ?実はこれこそ300年前からある線香花火の原形です。
「スボ手牡丹」と呼ばれるこの線香花火は、稲ワラの先に火薬を付けたものを香炉に立てて遊んだと言われており、主に関西を中心に親しまれてきました。

そして現在、国内でこの線香花火を製造しているのは、筒井時正玩具花火製造所のみという状況なんです。

筒井時正玩具花火製造所

今では全国的に親しまれているこのタイプは「長手牡丹」と呼ばれます。
線香花火が関西から伝わる際、関東では米作りより紙漉きが盛んだったため、ワラの代わりに和紙で火薬を包んで作られました。

私は、線香花火というとこの長手牡丹しか知りませんでした…。みなさんはどうでしょう?

さらに驚くことに、線香花火って熟成するんです!
湿気に当たらないようにきちんと保管しておくと、熟成によって火花の散り方も味わい深くなってくるんだとか。

火薬が0.01g異なるだけで燃え方が大きく変わる線香花火作りは、繊細さと集中力を要する非常にシビアな仕事。
とっても身近な花火なのに、実はまだまだ知らないことだらけなのかもしれません。

美しくて儚い、アート作品のような線香花火

ここで、職人の繊細で美しい技が光る筒井時正玩具花火製造所の製品をいくつかご紹介します。

線香花火筒井時正 花々

筒井時正玩具花火製造所

今では希少となった国産線香花火を、より良い形で後世に伝えるべく、素材にも徹底的にこだわった高品質の『線香花火筒井時正』シリーズ。
パッケージごと保管できるので、熟成を楽しむという高度な遊び方も!

花富士

筒井時正玩具花火製造所

富士山をモチーフにした花火は、噴火したように、美しい炎と煙を楽しむことが出来ます。
最後は、山の周りに煙がたなびくような様子を見ることも。

金属花火

筒井時正玩具花火製造所

花火の火花の咲き方を調整するのが添加する金属によるらしいのですが、これはチタニウム、マグナリウム、アルミニウムの特徴を生かして作られた花火です。

吹き上げる 鯨花火

筒井時正玩具花火製造所

涼しげだけど、ちょっとお茶目な表情が可愛らしいですね。
まるでクジラが潮を吹くような花火が楽しめる仕様になっています。

もっと線香花火を知りたくなったら「玩具花火研究所」へ

筒井時正玩具花火製造所では「玩具花火研究所」を立ち上げ、花火の製造のみならず、業界全体に関する情報・企画の発信にも積極的です。

たとえば、線香花火の持ち手に使用するワラの確保が年々難しくなっていたことも背景に、自ら稲を育て、花火作りまで体験できるワークショップを開催しています。

また線香花火の魅力を科学の視点から解説しているコラムも読みごたえがあって面白く、線香花火を新しい視点から知ることができるので、ぜひチェックしてみてください。

商品情報

ブランド名  筒井時正玩具花火製造所
販売元   筒井時正玩具花火製造所 株式会社
公式サイト https://tsutsuitokimasa.jp/

かとうかのこ
WRITER PROFILE

かとうかのこ

大学卒業後、海外を放浪したのち農業を始める。農業の傍ら、農や食を中心にライターとしても活動。美味しいものと、温泉、旅が好き。特技は、手だけでモコモコかつなめらかな泡を作ること。

Twitter:@kato_kanoko

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