2021.01.14

アニメのススメ。 -『トムとジェリー』に元ネタが!?カートゥーンから読み解くアメリカ文化史

アニメのススメ。 -『トムとジェリー』に元ネタが!?カートゥーンから読み解くアメリカ文化史 イラスト by かねひさ和哉

普段何気なく見ている、数々のアニメ。幼い頃に見ていたあの作品、今流行りのこの作品も、少し見方を変えるだけで違った楽しみ方が現れてきます。

このシリーズでは、今までとは少し違ったアニメの見方、すなわち「アニメのススメ」を紹介していきます。あの作品、この作品に隠された秘密を、一緒に解き明かしていきましょう。ただ「見る」だけでは決して出会えなかった作品との素敵な出会いが待っているかもしれません。

今回は、今から数十年前に作られたカートゥーン(=アメリカで作られたユーモラスなアニメ)に隠された元ネタを探っていき、その「元ネタ」からアメリカの文化の歴史について読み解いていきます。

「トムジェリ」に出てくるあの曲、あのギャグの元ネタって何?

アニメのススメ。 -『トムとジェリー』に元ネタが!?カートゥーンから読み解くアメリカ文化史 イラスト by かねひさ和哉

スクリーンデビューから80年を経た今もなお高い人気を保ち続けている『トムとジェリー』。テレビで見たという印象が強い人の方が多いかもしれない本作ですが、元々は1940年代から50年代にかけて映画館で長編劇映画やニュース映画の添え物として公開されていたシリーズでした。アメリカではこうした劇場用カートゥーンが1920年代から50年代にかけて活発に作られ、黄金時代を迎えていたのです。

こうしたカートゥーンは映画館で上映されていたため、当時流行していた音楽や映画を使ったギャグもふんだんに使われていました。年月が経過した現在では見過ごされがちなギャグや歌も、実はしっかりとした由来があるものだったのです。

本シリーズの配給を担当していたのは、当時のハリウッドにおける大スタジオMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)。このスタジオは、『オズの魔法使』や『雨に唄えば』など数々の大作映画を作っていました。そのため、『トムとジェリー』においてもこうした映画や当時の流行に沿ったギャグや音楽が用いられていました。

例えば、「素敵なおさがり(原題:The Zoot Cat)」(1944年公開)でトムが着ているカラフルなズート・スーツ。このスーツ、実は1940年代当時のアメリカでは、キャブ・キャロウェイをはじめとする黒人アーティストが着用していたトレンドのファッションでした。

使われている音楽からも当時のアメリカ文化が伺えます。「赤ちゃんはいいな(原題: Baby Puss)」(1943年公開)でトムをからかう三匹の野良猫が歌う「Mamãe eu quero」は、1937年に発表されたカーニバル・ソングが由来です。1940年に公開された映画『遥かなるアルゼンチン』の劇中でカルメン・ミランダが歌ったバージョンが有名であり、本作においても野良猫がミランダの物真似を披露しています。

「ルーニー・テューンズ」や「ミッキーマウス」にも元ネタがたくさん!

アニメのススメ。 -『トムとジェリー』に元ネタが!?カートゥーンから読み解くアメリカ文化史 イラスト by かねひさ和哉

「元ネタ」が存在するカートゥーンは、『トムとジェリー』だけではありません。『ルーニー・テューンズ』や『ベティ・ブープ』、ウォルト・ディズニーの『ミッキーマウス』にもそれぞれの作品が作られた当時の時代背景を反映したギャグや音楽がふんだんに使われています。

バッグス・バニーやトゥイーティーといった人気キャラを生み出したシリーズ『ルーニー・テューンズ』では、1930-80年代に数々の前衛的な曲を作り上げ、今もマニアからカルト的な人気を博しているレイモンド・スコットの楽曲がふんだんに引用されていました。当時のスター俳優のカリカチュア(似顔絵)を使用したキャラクターが頻繁に登場するのも、このシリーズの特徴です。

フライシャー・スタジオによって制作された『ベティ・ブープ』では、シリーズを配給していたパラマウント映画が製作した映画の主題歌や挿入歌が頻繁にBGMとして使われています。なんと、当時のスター歌手が実写映像つきで実際に出演する作品もあったのです。

『ミッキーマウス』シリーズには、ミッキーが当時ミュージカル映画で大人気だったフレッド・アステアのような恰好をして踊る「ミッキーの夢物語(原題:Thru the Mirror)」(1936年公開)という作品があります。このように、カートゥーンには「時事ネタ」や「トレンド」を活かした要素が数多く含まれていました。現在それらの要素は、当時のアメリカ文化を知る上で非常に役立っているのです。

何気なく見ているアニメ。見方を変えてみると意外な発見が待っているかも!?

この記事で紹介したカートゥーンの「元ネタ」は、まだまだ一部分に過ぎません。現在放送されているTVアニメにも、現代の世相を反映した時事ネタやトレンドがたくさん隠されているかもしれません。病院や家のテレビでふと『トムとジェリー』が映っていた時は、ぜひ「このギャグの元ネタってなんだろう……?」と考えてみてください。意外な発見が見つかるかもしれませんよ!

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かねひさ和哉

かねひさ和哉

2001年生まれの大学生ライター。幼少期に動画サイト等で1930-40年代のアメリカ製アニメーションに触れ、古いアニメーションに興味を抱くように。以降活動の場を広げ、研究発表やイベントの主催などを行ってきました。とにかく「動く絵」ならなんでも飛びつく筋金入りのアニメ/映画好き。 https://note.com/kane_hisa
Twitter:@kane_hisa

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