2021.01.27

アニメのススメ。 – アニメも最初は「フィルム」で作られていた!奥深いフィルムアニメの魅力に迫る

アニメのススメ。 - アニメも最初は「フィルム」で作られていた!奥深いフィルムアニメの魅力に迫る イラスト by かねひさ和哉

普段何気なく見ている、数々のアニメ。幼い頃に見ていたあの作品、今流行りのこの作品も、少し見方を変えるだけで違った楽しみ方が現れてきます。

このシリーズでは、今までとは少し違ったアニメの見方、すなわち「アニメのススメ」を紹介していきます。あの作品、この作品に隠された秘密を、一緒に解き明かしていきましょう。ただ「見る」だけでは決して出会えなかった作品との素敵な出会いが待っているかもしれません。

今回は、フィルムで作られたアニメの魅力に迫っていきます。デジタル制作が主流になりフィルム撮影が鑑みられることの少なくなった現在、あえてアナログ作品の魅力を一緒に考えてみましょう。

アニメーションの原理とフィルムの特色を解説!

アニメのススメ。 - アニメも最初は「フィルム」で作られていた!奥深いフィルムアニメの魅力に迫る photo by かねひさ和哉

小さい頃、教科書やノートの隅にパラパラ漫画を描いたことはありますか?アニメーションの原理はまさにパラパラ漫画と同様で、連続する絵を1コマずつ描いていき、素早く連続して映すことによって動いて見えるという仕組みになっています。実は映画も原理は同じ。映画ではフィルムに1コマずつ静止画を撮影し、上映時は撮影したフィルムを映写機にかけて1秒間に24コマの速さで上映しているのです。

パラパラ漫画はフィルムや映写機がなくても作れますが、アニメーションは映画のようにフィルム撮影との相性が抜群でした。静止画を連続して映すことで静止画が動いて見えるのです。立体物を1コマずつ動かしながら撮影していくことで動いて見えるようになるコマ撮り(ストップモーション)という映画を撮る技法もアニメーションの制作技法のひとつとして定着しました。

フィルム撮影されたアニメーションには、デジタル撮影にはない味わいがあります。(撮影スタンドはありますが)手作業でセル画を1コマずつ撮影していくため、わずかなブレやゴミなど、本来意図していなかったものが映り込んだりします。その結果、画面に「生々しさ」が与えられ、よりアニメーションが生き生きして見えることもあるのです。

戦前売られていた「玩具フィルム」に隠された幻のアニメ

アニメのススメ。 - アニメも最初は「フィルム」で作られていた!奥深いフィルムアニメの魅力に迫る photo by かねひさ和哉

機械を使わなければデータを読み取ることができず、データ破損の危険性も孕んでいるデジタルメディアに比べて、目で確認できる上に適切な保存を行えば長期保存が可能なフィルムは、今でもその価値の高さを失っていません。

私も祖父から8ミリフィルムと映写機を譲り受けたことをきっかけに、少しずつアニメーションのフィルムを収集しています。

私が収集しているのは主に1950-80年代にかけて家庭向けに販売されていた8ミリフィルムですが、戦前から戦後にかけて日本で販売されていた貴重な35ミリフィルムも数本所有しています。このフィルムは「玩具フィルム」といって、劇場で上映されたフィルムを家庭用に再編集したものとなります。当時の日本映画はオリジナル版の残存率が低く、玩具フィルムが唯一の現存フィルムだというような事例がよくあります。

そのため、おもちゃといえども玩具フィルムは当時の映画の実体を現代の私たちに伝える大切なメディアとなっているのです。

玩具フィルムは主に裕福な家庭を対象に販売されていたため、子どもが喜ぶ「漫画(=アニメ)」のフィルムも多数売られていました。

ミッキーマウスの誕生以前に製作された幻のディズニーアニメ『オズワルド・ザ・ラッキーラビット』も、いくつかの作品が日本で玩具フィルムとして販売されていたのです。中には本場アメリカでもフィルムが現存していない作品も含まれており、2018年には『Neck 'n' Neck』(‘28)というそれまで現存が確認されていなかった作品の玩具フィルムが日本で発掘されました。

面白いのは、多くのオズワルドの玩具フィルムには「ミッキー漫画」というタイトルが勝手に付加されていたという点です。戦前の日本で、既にミッキーマウスが大衆に浸透していたことが伺えます。

かくいう私も「オズワルド」のフィルムを一本持っています。『Empty Socks』(‘27)という作品の断片フィルムです。残念ながら所持しているのは玩具フィルムのさらに断片であり、秒数に換算すると10-20秒ほどの長さしかありません。しかし数年前まで現存が確認されていなかった幻の作品のフィルムであることには変わりありませんので、大切に保存していきたいと思っています。

なお玩具フィルムは映画研究家やコレクターによってまだまだ発掘されている最中であり、今後さらなるフィルムの発掘が期待できそうです。

時を超えて愛されるアニメとフィルムのこれから

1990年代以降、アニメはデジタル制作が主流になり、セル画やフィルムを用いたアナログ制作の歴史は急速に息絶えていきました。撮影や編集の段階における複雑な処理が容易であり、より効率よく高い質の作品の制作が可能なデジタル制作には多くのメリットがあります。一方で、伝統的なアナログ制作のアニメーションにある魅力は、デジタル制作の浸透によって消えてしまったわけではないのです。

私たちは新たなテクノロジーの発展だけに目を向けて古い技術を見捨てるのではなく、新たな技術を積極的に取り入れつつもかつて先人たちが遺してきた遺産を受け継いでいく姿勢も必要なのではないでしょうか。それはフィルムとアニメの関係性だけではなく、様々な分野においても同じことが言えるのではないかと思います。

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かねひさ和哉

かねひさ和哉

2001年生まれの大学生ライター。幼少期に動画サイト等で1930-40年代のアメリカ製アニメーションに触れ、古いアニメーションに興味を抱くように。以降活動の場を広げ、研究発表やイベントの主催などを行ってきました。とにかく「動く絵」ならなんでも飛びつく筋金入りのアニメ/映画好き。 https://note.com/kane_hisa
Twitter:@kane_hisa

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