「判官びいき」ってどういう意味?日本人の特性があらわれている?

ナンスカ編集部
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2020.02.22
判官贔屓

判官びいき」はスポーツ紙や新聞紙、ネットニュースなど、さまざまなメディアで使われている言葉です。けれど、「どんな意味?」と聞かれると、言葉に詰まってしまわないですか?

今回取り上げる言葉は、そんな「判官びいき」についてです。読み方や語源、例文、そして「判官びいき」にまつわるお話と一緒に紹介していきます。

「判官びいき」ってどう読む?

さて「判官びいき」のお話をする前に、まずは読み方から見ていきましょう。「判官びいき」は、もともとは「判官贔屓」と書きます。

判官贔屓 = ほうがんびいき

「判官」を「はんがん」と読むことも、間違ってはいません。実際、辞書にはどちらの読みも記載されていて、同じ意味を指しています。ただし、「ほうがんびいき」の読みの方がメジャーと言えるでしょう。「判官びいき」は「ほうがんびいき」と読みます。「判官」を「ほうがん」と読むのは、昔の官職名に由来しています。

「判官びいき」ってどういう意味?語源は?

次は、「判官びいき」の意味についてです。「判官びいき」とは、下記のような意味をもっています。

判官びいき(ほうがんびいき):悲劇的英雄、判官源義経に同情する気持ち。転じて、弱者・敗者に同情し声援する感情をいう。

引用元:コトバンク『デジタル大辞泉』より

「判官」とは、源義経のことを指しています。古来より、日本では人のことを「役職名」で呼ぶ風習がありました。源義経の役職が「判官」であったため、源義経は「九郎判官」と呼ばれていたのです。

源義経と言えば、平家打倒に多大なる功績を建てた武将です。しかし、その功績があまりにも大きかったために、兄である鎌倉幕府初代将軍源頼朝にうとまれてしまいます。

最後は、源頼朝に差し向けられた軍勢の前に非業の死を遂げました。この源義経へ同情する気持ちが転じて、現在では弱者や敗者へ同情する感情を「判官びいき」と呼ぶようになっています。

「判官びいき」は日本人の特性をとらえている?

判官贔屓と日本人

「判官びいき」は、よく日本人の特性をとらえていると言われます。

例えば、甲子園。

優秀選手を全国からスカウトしている強豪私立校」と「地元の選手のみで勝ち上がってきた公立校」が対戦するとしたら、どちらを応援したくなりますか?

このとき、日本人は後者を支持しがちだそうです。また、上記のようなわかりやすい対比ではなくても、甲子園では劣勢のチームほど観客の応援が大きくなります。

歴史の専門家によると、日本人には、もともと「弱きを助け強きをくじく」という言動に喝采をあげる習慣があったのだそうです。そこに典型例としての「源義経」が出現し、歌舞伎や物語をとおして広まっていきました。

昔から、一般の民衆は時の権力者に対しては無力でした。今でも、直属の上司や会社のトップとの関係では、あまり変わらない部分があります。

「判官びいき」、すなわち「弱い立場の人をひいきしたくなる感情」は、強い立場の存在になかなか表立って不満を表明できない日本人の性質を表しているのかもしれません。

「判官びいき」はどういう時に使う?例文でご紹介

例文

現在でも使われる「判官びいき」を、例文とともに見ていきましょう。

・負けているチームを応援したくなる心理には、判官びいきが作用しているのだろう
・小さな力士が大柄な力士を倒すときほど、判官びいきで盛り上がる
・できの悪い子ほど、判官びいきで可愛く思えてしまう

また、比較されがちなシチュエーションでも「判官びいき」は使用されますよね。兄弟姉妹間など、比べられることが多い関係でも、「判官びいき」的な感情はよく起こる場面です。「判官びいき」は多くの場面で使用されていますが、やはり野球や相撲など、スポーツの試合で用いられることが多い言葉です。勝ち負けがはっきりしているからこそ、スポーツと「判官びいき」との相性はよい感じを受けます。

このように、「判官びいき」は私たち日本人が知らないうちに感じている感情のひとつです。「弱きを助け、強きをくじく」ことは、多くの場合、とても良いことのように感じられます。

ただ、「ひいき」していることには変わりありません。知らないうちに、他方を傷つけてしまうこともあるでしょう。ですので「判官びいきしているな~」と感じたら、少し一呼吸おいて、冷静にみてみることも大切なことだと思います。

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"日常の「何それ?」を楽しむメディア"ナンスカの編集部です。

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