「狂気」「鬼畜」「無理ゲー」だけじゃない!実は本気のこだわりとリスペクトが詰まったフォントかるたが大人気!!

センノヂ
センノヂ
2020.02.15

私たちが普段目にしている身の周りの印刷物やweb上のフォント。果たしてどれだけの人がフォントを意識しながら日々を過ごしているのでしょう。そんな中、フォントを愛してやまない人たちの手によって「フォントかるた」なるアイテムが生み出されました。

斬新な発想とマニアックさが話題を呼び、フォントの魅力にどっぷりと浸かることができるという「フォントかるた」。いったいどのようなかるたなのでしょうか?

新年会の遊びからはじまって大反響、そして4人の女性たちが集結した

フォントかるたの取り札には一枚一枚すべて同じ文章が、48種類の異なるフォントで印刷されています。その中から読み上げられたフォントの札を取って競うというものです。
読み札にはそれぞれのフォント名と見本、そして解説の文が書かれています。

フォントかるたのはじまりは2017年の正月、グラフィックデザイナーのせきねめぐみさんが、仲間内の新年会で遊ぼうと手作りしたことがきっかけでした。そして、実際にかるたで遊ぶ様子をSNSで発信したことで、その独自の発想とユニークさが大きな反響を呼んで制作、販売に至ります。

フォントかるた制作チームはせきねめぐみさん、伊達千代さん、星わにこさん、横田良子さんの4人からなり、それぞれの得意分野で役割を担っています。遊びからはじまったフォントかるたが形になり、そして多くの人々が手にすることができたのは、クリエイター仲間である4人の女性の行動力と情熱があったからにほかなりません。

一度見たら忘れられない!?異彩を放つ取り札が並び、フォント名が読み上げられる光景

フォントかるたにある「愛のあるユニークで豊かな書体」とは、写研の写植書体見本帳を参考にして採用されました。かつて写植時代に利用されていたこの見本帳ですが、その頃印刷やデザインに関わったことがある人には、ピンと来るフレーズなのでは?フォントかるたに印刷されているのは、一部のコアな人々にとってはお馴染みの文章なのです。

すべて同じ文章が印字されたかるたが並ぶ様子は壮観、というより途方に暮れる人も多そうです。このシンプルにして容赦ない感じがなんともストイックで、「狂気」「鬼畜」、クリアできる気がしない「無理ゲー」感を煽るのかも知れません。そしてフォント名を読み上げて札を取るシーンは、やはり斬新過ぎるとしか言いようがない光景です。

取り札の印刷に使用した48書体は、明朝体やゴシック体などの分類を網羅しながら、普段よく見かける基本的なものを中心に選ばれました。デザイン性のある個性的な書体から似たものと判別がつきにくい書体まで、この48書体にはフォントへのこだわりとリスペクトが詰まっています。

マニアックなコンセプトを持つフォントかるたは当初、デザインやDTPに携わり、文字やフォントに関心を持つ人々からの反響を受けました。しかしそのような枠を超え、まったくフォントを意識したことのなかった人にも魅力が伝わり、多くの愛好者を集めることとなりました。

あなたならどんな風に遊ぶ?大人数でも1人でも、楽しみ方はいろいろ

フォントかるたでは、10人程度の大人数はもちろん、読み手なしで2人で対戦する源平戦や2セットを使用しての神経衰弱などさまざまな遊び方があります。通常のかるた同様、家族や友達同士など気の置けないメンバーが集まるシーンで遊ぶことが多いと思われますが、あえて初対面やあまり打ち解けていない人同士で遊んでみるのも面白いかも知れません。

フォントに慣れ親しんでいる人同士でマニアックな話題を共有し合ったり、フォントに詳しくない人同士があまりの「無理ゲー」感に思わず顔を見合わせて笑ってしまったり。難解なフォントに囲まれながら、いつの間にか打ち解けていたなんてこともありそうです。

またフォントかるたには、通常のかるたとは異なり1人でも楽しめるという特徴も。ひたすらフォントと向き合うコンセプトのおかげで、1人遊びはフォントかるたの純粋な楽しみ方としても浸透しています。

それぞれのフォントの解説を読んで、歴史や作った人に思いを馳せたり、字体のフォルムやデザインをじっくり鑑賞するのも良いでしょう。フォントから受ける印象をいろいろと想像しながら、どんな場面で使われるのかを考えるのも楽しそうです。かるた自体もセンスが良くながめているだけでも飽きませんし、フォントの見本帳として使う人も多いようです。

大勢でワイワイ盛り上がるのも最高ですが、1人でじっくりとフォントの世界に浸るのもとてもぜいたくな楽しみ方です。

フォントかるたは進化し続ける?広がるフォントの世界へのいざない

異彩を放つゲーム方法が評判を呼びクリエイターなど仕事で書体を扱う人々をはじめ、幅広い人々の支持を受けているフォントかるた。大人も子供も関係なく、大勢でも1人でも楽しめる柔軟性が魅力の一つでもあります。

それぞれ好きな時に自分の興味の赴くまま、思い思いにフォントに関わることが可能です。フォントかるたは既存の形に囚われない、新しい時代にフィットする遊びと言えるのではないでしょうか。

そして、フォントかるたかでは常にフォントの世界を広げる提案がなされ、さらなる可能性を見せてくれています。基本パックにプラスして難易度を「鬼レベル」に爆上げ、奥行を与えながら進化させる拡張パックの販売、そして昨年に発売されたフォントかるたの書籍版、フォントのガイドブックの出版もこれにあたるのでしょう。

詳しくはこちら!
https://books.mdn.co.jp/books/3219303029/

制作チームのフォントの魅力を伝えたいという思いは尽きることがありません。
「かるたといえば正月」と思い込んでいるそこのあなた!フォントかるたはいつでも楽しめます。フォントの大海原に漕ぎだしてみてはいかがでしょう?

センノヂ
WRITER PROFILE

センノヂ

昭和40年代のセンスに魅せられ古着やインテリアにハマるが、現在ではその頃に建てられたとおぼしきビルや住宅を愛でるのが何よりの癒し。いつか、自分でプロデュースした雑居ビルを建ててみたいです。

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