そのプロジェクト、手袋うまれ、手袋そだち。-ウインセス「zero」

ナンスカ編集部
ナンスカ編集部
2020.06.04
zero collections

仕事柄、たくさんの「モノ」を見る私ですが、正直この「zero」には驚いてしまいました。

淡く透きとおるその布は、光を通せば柔らかくひかり、ふわっと軽く、やわらか。ポーチやペンケース、サコッシュに形を変えれば、身に着けていることすら忘れてしまう、そんなプロダクト。実はこれ、工業用手袋に用いる特殊な素材と縫製技術が凝縮されているプロダクトなんです。

zero collections

工業用手袋に用いられる素材であるため、汚れやほこりが付きにくく、通気性や耐久性は抜群。縫製技術と組み合わせることで、折り目をつけると自立する特徴を生かし、デザイナー梅野聡氏の協力を得て生み出されたプロジェクト「zero」のプロダクトをご紹介します。

zero collections
遠目で見ると、うっすら白く透き通る「zero」のプロダクトたち。

限りなく「無」に近い素材でできた、肌になじむプロダクト

現在展開されている「zero」のラインナップは、ポーチ、ペンケース、サコッシュなど。色使いなどのニュアンスで、それぞれの雰囲気もぐっと変わってきます。それではその一部をご紹介しましょう。

zero ポーチ

zero pouch

写真で見ると、少し硬そうな素材に見えませんか? 実はまったくそんなことはなく、手袋の素材でできているので、見た目に反してその触感はとてもやわらかでなめらか。

zero ポーチ

透き通った素材なので、中に入れたものが見えるので「あれ、あのリップはどこにいれたんだっけ?」とバッグの中の数個のポーチをまさぐる必要もありません。

zero サコッシュ

zero サコッシュ

先にお伝えしたように、とてもやわらかな素材で作られているので、モノを入れたら破れてしまいそうにも思えますが、そんな心配はご無用。工業用手袋の素材は耐久性にも優れているので、サコッシュにしてモノをぽいぽいっと放り込んでも大丈夫。

zero サコッシュ

ペットボトルだって入りますよ。さらにはサコッシュ自体が軽いので、身体への負担も少ないんです。私なら、これをもって夏フェスや音楽ライブなんかに遊びにいきたいですね。

zero ペンケース

zero ペンケース

ペンケースって、ちょっとだけ臭いが気になるときありませんか? それ、ペンやスタイラー、消しゴムに付着した手汗が原因。今ではペンケース向けの消臭剤などもあるようですが、私、あの臭いがとにかく苦手で。文房具はこまめにウエットティッシュで拭いていたほどです…。

zero ペンケース

その点、「zero」は通気性も抜群。臭いがこもってしまうこともありません。私個人の意見ではありますが、このペンケースなら大丈夫かも!と真っ先に考えました。また、中身が透けるからこそ、色ペンをたくさん詰めておくのもかわいいかもしれませんね。

snow シリーズ

シリーズ展開として、「snow」シリーズも用意されています。

「snow」シリーズはカラーリングをすべて白に統一し、表面の凹凸、模様などでニュアンス付けしたシリーズ。よりシックさとシンプルさが強調され、男性も持ちやすい仕上がりです。

snowシリーズ  ペンケース
「snow」シリーズ  ペンケース
snowシリーズ  ポーチ
「snow」シリーズ  ポーチ

手袋で、手袋以外のものを作ってみせる、そんな強い思いを現実に

ウインセス株式会社

そんな「zero」を作り上げるのは、香川県高松市に本社を構える手袋製造会社ウインセス。ウインセスが創業当時その店を構えていた香川県東かがわ市は、国内の手袋生産量約90%を占める、手袋のまち。ウインセスは100年以上続くその歴史の中で、防寒用手袋からはじまり、現在は工業用手袋の生産に注力、規模を拡大してきました。

ウインセス株式会社

昨今、働き手の不足や高齢化による生産力の低下、技術継承の難しさによって、手袋製造業界もじわじわと危機にさらされているのは事実です。ウインセスの代表取締役、橋本勝之氏は「このまま手袋を作っているだけではなく、より魅力的な会社であることを発信するためになにかできることは」と、新たな製品開発に着手。その一環が、この「zero」だったのです。

ウインセスが今まで取り組んできたのは、工業用手袋という、BtoB製品の仕事。それを、一般コンシューマー向けのプロダクトを開発することによって、新規顧客開拓をもくろみましたが、なかなかうまくいきません。

そういった中で、デザイナー梅野聡氏と出会います。「自社技術を使う」「手袋以外のものを作る」という2つの希望から、試行錯誤を繰り返し、2018年、「zero」はこの世に送り出されました。

その後、ヨーロッパをはじめとした、国内外のさまざまな展示会に出展。それぞれで、非常に高い評価を受け、国際的に権威あるiF賞を受賞、さらにはノミネートだけでも栄誉とされるジャーマンデザイン賞にも堂々ノミネートされました。

やはり惹かれるのは、自社が積み重ねてきたその知識と経験を、デザイナーというトッピングによって、まったく新しいプロダクトが出来上がるというそのストーリー。古き良きだけではなく、そこに「新しく」を取り入れようとする、ウインセスの努力が、このやわらかくあたたかい「zero」を生み出したのですね。

あくまでこだわるのは、手袋によって培った技術であるということ。手袋で、手袋以外のものを作る。そんな辻褄の合わないことを、少しの工夫で可能にする、プロダクトストーリーには感心の一言でした。

「zero」シリーズのプロダクト開発ストーリーはこちらで紹介しています。

https://creativecanvas.jp/store/items/p00004739/

今後も、現在あるプロダクトのブラッシュアップや、新製品の開発を進めていく予定とのこと。手袋からうまれる手袋じゃないプロダクトプロジェクトから、目が離せません。

商品情報

ブランド名 zero
販売元   ウィンセス株式会社
販売サイト https://creativecanvas.jp/store/

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"日常の「何それ?」を楽しむメディア"ナンスカの編集部です。

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