まるで(like)石のよう(stone)な私のお気に入り。-芳泉窯「likestone」

ナンスカ編集部
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2020.07.09

岐阜県の東濃地域で生産される焼き物「美濃焼(みのやき)」。1度は名前を聞いたことがある、という人が多いのではないでしょうか。美濃焼は、平安時代に作られた須恵器から発展した、歴史のある焼き物で、安土桃山時代にその工法が確立。現在では伝統工芸品に認定され、和食器や洋食器などとして広く愛されています。

そんな美濃焼が生産される東濃地域は、現在においても日本最大の陶磁器生産拠点。中でも岐阜県土岐市は、陶磁器生産量日本一の街として知られています。今回紹介する芳泉窯が所在するのも、岐阜県土岐市。1947年に創業した「カネモ製陶所」を祖にもつ芳泉窯は、居酒屋やレストランで使われる業務用和食器を中心に製造と販売を行ってきた窯元で、これまでに手掛けた製品は330種類を超えるのだとか。

今回注目するのは、芳泉窯と、デザイナーの島村卓実氏が共同で作り上げた焼き物「likestone」。見た目はまるで河川敷や海岸の物陰にひっそりと存在する石のよう。さっそく、そのプロダクトを見ていきましょう。

芳泉窯
芳泉窯「likestone」

試行錯誤の上に生まれた、独特の風合いと、空間に溶け込むやわらかさ

芳泉窯は、たくさんの製品を手掛ける中で、土にこだわり、配合を工夫したオリジナル粘土を使用した製品づくりにも熱心に取り組んでいます。

「likestone」は、そんなオリジナル粘土で作られたプロダクト。割れてしまった半製品の陶器を粉砕して粘土に混ぜたり、発色の異なる粘土を混ぜたり、製品仕上げをマット調にすることで、独特の風合いに仕上がっています。

芳泉窯

はじめにご紹介するのは、フラワーベース。「石」という自然をモチーフにしたフラワーベースは、花とうまく溶け合い、お互いを引き立てながら共存してくれるのです。それぞれ「IWA」「NAGAISHI」「TAIRA」「KOISHI」と名付けられたそれらは、ドット地であったり、大理石のようなマーブル地であったりと、見ていて飽きることがありません。

芳泉窯
芳泉窯 likestone-IWA
芳泉窯
芳泉窯 likestone-NAGAISHI
芳泉窯
芳泉窯 likestone-KOISHI L
芳泉窯
芳泉窯 likestone-TAIRA
芳泉窯
芳泉窯 likestone-KOISHI

長い茎の花や枝木を指すのにぴったりな「IWA」「NAGAISHI」「KOISHI L」と、おおぶりの木花を飾りたい「TAIRA」と「KOISHI」。ざらっとした河川の石を思わせるドット調のパターンと、つるっとした大理石調のパターンがあり、それぞれが空間と花にほどよくなじみます。

もちろん、陶器ですから食器はお得意。お皿、ボウル、コーヒーカップが用意されています。お皿は、平たい石のような風合い。和食によく似あいそうです。

芳泉窯 likestone
芳泉窯 likestone-ISHISARA L
芳泉窯 likestone-ISHISARA
ISHISARAはS、M、Lサイズがあります。
芳泉窯 likestone-ISHISARA
ISHISARAのSサイズは小皿として以外に、コーヒーカップのソーサーとしても使えます。

コーヒーカップはひっくり返しておけば、見た目はまるで小石のよう。手にもしっくりとなじみ、あたたかなコーヒーをより楽しめそうです。

芳泉窯 likestone
芳泉窯 likestone-CUP
芳泉窯 likestone
芳泉窯 likestone-BOWL M

小さいころ、海辺で拾ったキレイな石を思い出してしまう。色味もシンプルだからこそ、色鮮やかなフルーツを入れてもよし、落ち着いた色の和食を置いてもよし。

個人的に気に入ってしまったのはキャンドルホルダー。石をくりぬいて作ったようなセラミック製のものですが、軽いので水に浮くのです。疲れた日のゆっくりしたいバスタイムに、これをバスタブにぷかぷかと浮かばせておくのもいいかもしれません。もちろん、自立もしますよ。

芳泉窯 likestone
大理石調のホルダーは、軽量で水に浮かびます。バスタイムだけでなく、こうして水受けに浮かべておくだけでもおしゃれですね。

日本だけでなく、世界中で使ってもらえる食器を作りたい……。

芳泉窯は、先述したように戦後間もないころから陶器製食器を多く手がけてきました。その経験と技術をもって、3年の月日を費やしこの独自の粘土を開発。従来の業務用だけではなく、一般のお客さまが日常で使う器で実感してほしいという思いをもって商品化を続けています。

芳泉窯 likestone

さらに、「likestone」はプロダクトデザイナーの島村卓実氏をデザインとブランドディレクションに迎えています。島村氏は、車やバス、建築、家具などのデザインを手掛ける柔軟さを備えた注目のデザイナー。代表作である間伐材デザイン「monacca」は、ニューヨーク近代美術館での販売をはじめ、世界市場で高い評価を受けており、その他グッドデザイン賞をはじめとした各賞を多く受賞している方でもあります。

デザイナー 島村 卓実
デザイナー 島村 卓実

プロダクトデザインは、複雑になればなるほど製造が難しく、また単純になればなるほどその表現力が問われ、製造元は高い技術が求められます。島村氏の、こだわりぬいたかつ、シンプルなそのプロダクトは、相当の製造技術が必要だったはず。長年の経験と技術を併せ持つ、芳泉窯だからこそ成しえた「likestone」なのです。

芳泉窯
ひとつひとつ、経験と技術を頼りに手作業で作り上げていきます

昨今の和食ブームもあり、和食器など日本スタイルの食器が海外でも注目されるようになってきました。「likestone」は、そんな日本のスタイルをまもりつつ、新たな生活のスタイルに斬り込んでいく一つのあたらしいカタチです。焼き物界の「斬り込み隊長」として、日本だけでなく、世界中に新しい風を吹き込んでくれることでしょう。

商品情報

ブランド名   likestone
販売元     芳泉窯
公式サイト   http://www.housen-nendo.com/
商品販売ページ https://creativecanvas.jp/store/

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