木彫り熊が新たなアップサイクルでアートとして蘇る!「Re-Bear Project」

ナンスカ編集部
ナンスカ編集部
2020.10.09
Re-Bear Project

赤、青、黄色、白…など、色とりどりの個性豊かな熊たち。実はこれ、もともとは北海道の民芸品”木彫り熊”。

かつては、北海道土産の代表だった木彫り熊も、時代の流れと伴にその存在はすっかり薄まってしまいました。

そんな木彫り熊を、若きアーティストの力で蘇らせる活動「Re-Bear Project」をご紹介します。

木彫り熊×アーティストによるアップサイクル

Re-Bear Project

「Re-Bear Project」とは、木彫りの熊を現代の新しいアートとして生まれ変わらせるアップサイクルプロジェクトです。

居場所を失った木彫り熊たち

Re-Bear Project

北海道の民芸品である「木彫り熊」。その歴史は、今から100年ほど前にあたる大正時代に始まったといわれています。職人による高度な技術が詰まった大変価値の高い伝統工芸品です。

しかし、その価値が徐々に見失われつつある現代。古くなり居場所を失った木彫り熊たちが多く存在しています。

若きアーティストが新たな命を吹き込む

Re-Bear Project

「Re-Bear Project」は、そんな行き場のない木彫り熊を今のアートに蘇らせます。

古くなった木彫り熊に新たな命を吹き込むのは、国内外で活躍する若きアーティストたち。精工に作られた木彫り熊の個性を大切にしつつ、アーティストそれぞれの感性・テーマ性が加えられています。

それにより、伝統と現代が融合した全く新しい木彫り熊「Re-Bear」に生まれ変わりました。今の時代に違和感なく、空間に豊かな彩りを与えてくれます。

古いモノの価値を見過ごさない 株式会社家's

Re-Bear Project

「Re-Bear Project」を立ち上げたのは、富山県高岡市に拠点を持つ株式会社家's.(イエス)。100年前の日本家具のアップサイクルや空間プロデュースなどを行っています。

大量生産・大量消費が当たり前の現代。本来はもっと長く使えるものも「古くなった」という理由だけで簡単に廃棄されています。そんな現代に対し、家's.が大切にしているのは「古いモノには代えがたい価値がある」という信念。

「古いモノに新しいモノを掛け合わせると、本当に新しいモノが生まれるのではないか?」という想いから家'sはスタートしました。

必要なものが時代とともに変化していくのは自然なこと。だからといって、「古い」というだけで価値あるものが見過ごされるのはもったいない。「古いから捨てる」ではなく「古いからこそどう使えるか」を考える。

そんな家’sの活動は、古いモノの価値に気付かせてくれます。

【Re-Bear project】作品紹介

これまでに発表されたRe-Bear projectの作品を一部ご紹介します。

【by西川美穂】木彫り熊×油絵具

Re-Bear Project

西川美穂さんによるRe-Bearは「熊に布がかぶさっているかのよう」な姿を表現。「凹凸感を無くす→表面をツルツルにする→やすりをかける」の工程を繰り返し、布をかぶったような質感に仕上げています。

色付けは油絵具を使用。何層も色を重ねて深みを出し、全く新しい熊へと生まれ変わりました。

■アーティスト:西川美穂

アーティスト:西川美穂

多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科絵画専攻油画研究領域 修了。「世界絵画大賞展 大賞」をはじめ様々な賞を受賞。

お笑い芸人の又吉直樹さんが芥川賞受賞した著書「火花」の装丁画にも起用される。

【by松崎大輔】木彫り熊×アクリル

Re-Bear Project

松崎大輔さんによるRe-Bearは「新しい命として蘇ったようなパワー」を表現しています。

木目の熊をアクリルでカラフルに塗ることで、生命力ある熊に生まれ変わりました。

アーティスト:松崎大輔

アーティスト:松崎大輔

海外生活などを得て37歳から画家活動をスタート。生きとし生けるものの「調和・共生」をテーマに、動物、魚類、植物などをカラフルなポップアートで描いています。

作品制作の他にライブペイント、壁画制作でも活動中。

【by松岡龍一】木彫り熊×水性絵具&ラメ

Re-Bear Project

松岡龍一さんによるRe-Bearはのテーマは「勝負と遊び心」。

木彫り独特の凹凸のラインを活かしながら、ペインティングナイフで絵具を垂らし色を重ねています。さらにラメが散りばめられ「新種の熊」に生まれ変わらせました。

アーティスト:松岡龍一

アーティスト:松岡龍一

写真家(モノクロフィルム)としてアーティスト活動をスタート。その後、絵画、ライブペイント、立体物、インスタレーションで作品を国内外で発表。

西陣織の伝統工芸士である祖父とコラボレーションしたブランド「高虎屋」も立ち上げています。

【by MadblastHiro】木彫り熊×カモフラージュ柄

Re-Bear Project

Madblast HiroさんによるRe-Bearは、オリジナルのカモフラージュ柄。環境に溶け込み身を隠す能力を持つ、まさに自然界を象徴する柄です。

そんなカモフラージュ柄にすることで「存在を忘れ去られ、身を隠してた木彫り熊」に対する比喩的な表現も込められています。

■アーティスト:MadblastHiro

アーティスト:MadblastHiro

岐阜を拠点に壁画制作・ライブペイント・展示など全国で活動。G-SHOCK、SONY、BETONESへのイラスト提供も行っています。

時代に合わせながら伝統文化を継承していく

Re-Bear Project

高い技術でありながら、時代の流れによって「古い」とされ、失われていく文化は少なくありません。木彫り熊はその象徴的な工芸品といえるのではないでしょうか?

時代に合わせながら木彫り熊の伝統文化を継承していく「Re-Baer Project」。このような活動が、今後さらに活発になっていけば良いですよね。

プロジェクト情報

プロジェクト名 Re-Baer Project
販売元     株式会社家’s
公式サイト   https://rebearpjt.thebase.in/

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"日常の「何それ?」を楽しむメディア"ナンスカの編集部です。

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