待つ時間も楽しみの時間に。 アートの前での “新しい待ち合わせ” 。 / GINZA SIX ART CONTAINER

ぷらいまり
ぷらいまり
2021.01.23
 GINZA SIX ART CONTAINER photo by ぷらいまり
(写真撮影:ぷらいまり)

いつもの「当たり前フィルター」を外して日常に目を凝らすと、そこは「発見」の宝庫。あえて少しだけ日常から踏み出すことで、一生知ることが無かったかもしれない「発見」と出会えることも。そんな「発見」が、あなたにとても大事な「化学反応」をもたらすかもしれません。

この記事では、あなたの「当たり前フィルター」が外れるきっかけになるかもしれないアートスポットをご紹介していきたいと思います。今回ご紹介するのは、銀座にあるGINZA SIXで展開されている「GINZA SIX ART CONTAINER」。商業施設の中に登場したのはどんなアートスポットなのでしょうか?

待つ時間も楽しい時間に変化する “新しい待ち合わせ” スポット

「ART CONTAINER」は、様々な業界で活躍する8名のクリエーター・アーティストの手がける“新しい待ち合わせ”のためのスポット。様々なサイズのコンテナの中に製作された作品がGINZA SIXの館内各所で展開されています。それでは、いくつかの作品をご紹介します。

《停留所岩》/ アーティスト・藤倉 麻子 (5F)

《停留所岩》/藤倉 麻子 photo by ぷらいまり
《停留所岩》/藤倉 麻子(写真撮影:ぷらいまり)

館内の通路の途中に現れる“停留所”という“待つ”ための場所。そこでは、SFの世界のような、カラフルで有機的な構造物が並ぶ都市の映像が展開されています。アーティスト・藤倉 麻子さんの作品です。質感はリアルだけれども実際には存在し得ない夢の中のような世界で、映像を見ていうちに“待つ”時間もあっという間に過ぎてしまいそうです。

《停留所岩》/藤倉 麻子 ぷらいまり
《停留所岩》/藤倉 麻子(写真撮影:ぷらいまり)

その停留所の椅子に座って待っているのは、映像の中から抜け出してきたようなカラフルな岩たち。岩という 動かないはずのものたちがここで待っているのは、これから何処かへ出かけようとしているのでしょうか?

作者の藤倉 麻子さんは、今年、リモートで行う作業が増えるなかで「(リアルな)物を観たいっていう欲求が強まってるなって思って」と語ります。夢の中のような映像の世界が、現実世界に飛び出してくるような感覚を楽しめる作品です。

《編みの開花時計》/ 編み師・203gow (3F)

ビタミンカラーの編み物でできた花や数字に包み込まれた、まるで絵本の中のような空間。風変わりな編み物作品「へんなあみもの」を作り続ける、編み師・203gowさんの作品です。

《編みの開花時計》/ 03gow photo by ぷらいまり
《編みの開花時計》/ 03gow(写真撮影:ぷらいまり)

こちらでは、カラフルなベンチに座ってゆったりと待つことができます。作者の203gowさんは、「待ち合わせのちょっとした時間で自分の時間を少し見つめてもらうお手伝いができたら」と語ります。

《編みの開花時計》/ 03gow photo by ぷらいまり
《編みの開花時計》/ 03gow(写真撮影:ぷらいまり)

《石のプのそよ》/ 美術家・小林 椋 (6F)

まるで積み木のように、単一の色で彩られた様々な形状のパーツ。大小のパーツはそれぞれに回転し、その様子は自身も動くパーツに備え付けられたカメラで捉えられ続けます。ひとつひとつは単調な動きながらも、その組み合わせと、カメラの中で構成される画面の面白さにいつまでも見入ってしまう作品です。

《石のプのそよ》/ 小林 椋 photo by ぷらいまり
《石のプのそよ》/ 小林 椋(写真撮影:ぷらいまり)

立体、ビデオカメラ、モニターなどによる駆動装置を使い、鑑賞者を惑わす作品を制作する美術家・小林 椋さんによる作品です。

《石のプのそよ》/ 小林 椋 photo by ぷらいまり
《石のプのそよ》/ 小林 椋(写真撮影:ぷらいまり)

「たまたま同時刻に待ち合わせてなかったら 隣にいることがない人が 隣にいたりするじゃないですか。そもそも同期していない者たちがたまたま同期しちゃっているみたいなことのほうが面白い」と語る小林さん。目の前で展開される、たまたま同時にカメラに写り込むパーツの組み合わせの偶然の面白さにもにもつながってくるようです。

《RGB_Light -Material-》《RGB_Light -Construction-》 / 河野 未彩 (B1F)

最後に、広い通路の両端に対のように置かれた2つの小さなコンテナ。その天井には、「ナンスカ」でご紹介させていただいた、Red、Green、Blueの三原色で構成された照明器具「RGB_Light」が設置されています。グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、映像、インスタレーションなど、幅広い創作活動を行っている、視覚ディレクター・河野 未彩さんによる作品です。

≪RGB_Light -Material-≫ / 河野 未彩 photo by ぷらいまり
≪RGB_Light -Material-≫ / 河野 未彩(写真撮影:ぷらいまり)

1つは、透明な物質に「RGB_Light」の光を通すことで、透過・屈折する光と影の交差を生み出す≪RGB_Light -Material-≫。そしてもう1つは、分子構造やネットワークを彷彿させる構造に「RGB_Light」の光を照射することで、鮮やかな影を生み出す≪RGB_Light -Construction-≫。

≪RGB_Light -Construction-≫ / 河野 未彩 photo by ぷらいまり
≪RGB_Light -Construction-≫ / 河野 未彩(写真撮影:ぷらいまり)

そのカラフルな光と影の色・形はゆっくりと変化し続け、こちらも時間を忘れて見入ってしまいます。「待ち合わせ」では待つ方も待たせる方も気兼ねしてしまうことがある中で、「今回のテーマは、時を忘れられるような 小空間を創ること」と、河野さんは語ります。

”待ち合わせ”をテーマとするだけに、どの作品も動きがあったり映像が取り入れられていたりと、ゆっくりと観て楽しむことがでい、また、どのタイミングから見初めてもたのしめる作品が集まっています。

待ち合わせ後にも。館内で楽しめるアート作品。

GINZA SIXの館内には、このほかにもアート作品がたくさん。

5Fまでの広大な吹き抜け空間を彩るのは、アーティスト・吉岡徳仁さんによる《 Prismatic Cloud 》。およそ1万本のプリズムロッドに光があたり、フロアを歩きながら・エスカレーターを昇りながら、様々な光が感じられます。(2021年2月下旬まで展示の予定。)

《 Prismatic Cloud 》 / 吉岡徳仁 photo by ぷらいまり
《 Prismatic Cloud 》 / 吉岡徳仁(写真撮影:ぷらいまり)

また、階段やエスカレーターホールには、teamLabや、アーティスト・船井美佐さんらによる常設作品も展示されています。

《 楽園/境界/肖像画 》 / 船井美佐 photo by ぷらいまり
《 楽園/境界/肖像画 》 / 船井美佐(写真撮影:ぷらいまり)

また、2021年2月23日(火・祝)までは、「GINZA SIX ART RAMBLING アートをめぐる館内散策。」として、アーティストの手がけたフォトスポットも館内で展開されています。

《Free Fall #1》 / エリン ディー ガルシア photo by ぷらいまり
《Free Fall #1》 / エリン ディー ガルシア(写真撮影:ぷらいまり)

これらの作品の場所や作品情報は、館内で配布されている「ART CONTAINER 館内マップ」に掲載されています。外を歩き回るのは寒い季節ですが、こちらを片手に、暖かい館内でアート作品を探して館内を巡ってみるのはいかがでしょうか?

展示情報

GINZA SIX ART CONTAINER

公式サイト https://ginza6.tokyo/gsix2020/art_container
期間 2020年11月9日(月)~ 2021年2月23日(火・祝)
場所 GINZA SIX 館内各所

ぷらいまり
WRITER PROFILE

ぷらいまり

都内でサラリーマンしながら現代アートを学び、美術館・芸術祭のボランティアガイドや、レポート執筆などをしています。年間250以上の各地の展覧会を巡り、オススメしたい展覧会・アート情報を発信。 https://note.com/plastic_girl

Twitter:@plastic_candy

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