「ひらめき」をカタチにする 新しいタイプのミュージアム / AkeruE(アケルエ)

ぷらいまり
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2021.04.24

東京ビッグサイトの目の前、パナソニックセンター東京内に新しいミュージアム「AkeruE(アケルエ)」がオープンしました。「科学館」「美術館」「創作工房」を融合させたというこのミュージアム、いったいどんな場所なのでしょうか?

この記事では、この新しい複合施設、パナソニック クリエイティブミュージアム「AkeruE(アケルエ)」についてご紹介します。

「ひらめき」をカタチにする 新しいタイプのミュージアム / AkeruE(アケルエ)  photo by ぷらいまり
パナソニックセンター東京 外観(写真撮影:ぷらいまり)

アートとテクノロジーの掛け合わせから 「ひらめき」の種を探す

「AkeruE」はパナソニックセンター東京の2F, 3Fの2フロアにわたり、そのなかに、子どもたちの「ひらめき」をカタチにする6つのエリアがあります。なかでも眼をひくのは「ASTRO (アストロ)」というゾーン。「アート」と「テクノロジー」のように、異なる分野をかけあわせた作品が並びます。

「ASTRO (アストロ)」会場の様子 photo by ぷらいまり
「ASTRO (アストロ)」会場の様子(写真撮影:ぷらいまり)

≪floatio≫ / 油井俊哉・横田智大・橋田朋子

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(写真撮影:ぷらいまり)

小さなりんごたちが宙に浮いて動きまわっています。ニュートンの逸話において、りんごは万有引力を象徴する存在。そのりんごたちが重力に反し、空中をぷかぷかと漂うユーモラスな光景を目にすることができます。

「空中で群れるディスプレイやマウスを作れないか」という想いをきっかけに制作されたというこちらの作品。未来には重力を気にしない生活もあり得るのでしょうか?そのとき、人とモノとの関わり方がどう変わっていくのか、そんなことを想像するのも楽しい作品です。

≪アイデアタワー≫ / 井上仁行(パンタグラフ)

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(写真撮影:ぷらいまり)

天井まで届く、大きな立体のゾートロープの作品。タワーの一番下で、ボール状の「アイデアの素」が生まれ、それが砕かれ、選ばれ、混ぜられ、様々な試行錯誤を経て上昇し、最後に脳に達する様子が表現されています。

ストロボの速さを切り替えてみることができ、動きが変わって見えます。カラフルでユニークな造形と動きは見ているだけで楽しいのとともに、見る人によってそのストーリーを自由に発想することもできそうです。

子どものためのミュージアムではありつつ、大人が見ても楽しい作品が並びます。

楽しみながらその原理も「まなぶ」

このミュージアムのユニークなところは、美術館のような展示だけではなく、それらの作品の原理やしくみ、素材などについても解説がなされているところ。科学館の体験学習のように、楽しく学ぶことができます。

≪突き出す、 流れる≫ / 児玉幸子、竹野美奈子

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(写真撮影:ぷらいまり)

強磁性超微粒子を水や油などの溶剤に溶かして作った「磁性流体」に対し、磁場を強めたり弱めたりとコントロールすることで、まるで生きているかのような不思議な動きを与えるこちらの作品。先日、「蛍光磁性流体」の記事でご紹介したメディアアーティスト・児玉幸子さんらによる作品です。

磁性流体で遊ぶこともできます。 photo by ぷらいまり
磁性流体で遊ぶこともできます。(写真撮影:ぷらいまり)

その隣では「磁力線はどんな形をしているのか?」を模型で学んだり、本物の磁性流体に磁石を近づけて、動かして遊んだりすることもできます。作品として動きを見るだけでも楽しい作品ですが、自分で動かしてみると、さらに強く印象にのこりそうです。

≪Looks Like Music≫ / スズキユウリ

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(写真撮影:ぷらいまり)

レールのような黒い輪が描かれたワークシートの上にマジックで好きな色の線を描いていきます。黒い線の上を四角い”カラーチェイサー”が電車のように走り回り、色の上を通過すると音が出る作品。自分だけの音楽をつくることができます。

こちらは、どのようなセンサーがどのように働くことで動きや音を作り出しているのかを映像で楽しく紹介。それを知ることで、ワークシートをさらにユニークなものにできそうです。会場では、お友だちと協力して線路を拡張したり、色の塗り方を工夫したりと、自由な発想でトライ&エラーを楽しんでいるお子さんたちも多く見かけました。

展示作品は全部で7つ。見て、体験して楽しむだけでは無く、原理を知ることでより楽しみ方のアイディアが広がりそうです。ノート型のワークシートも用意されており、感じたことや気づきなどを書き込みながらアイディアを広げることができるような仕組みも用意されています。

ひらめき手帖  photo by ぷらいまり
ひらめき手帖(写真撮影:ぷらいまり)

工作から映像制作まで、自分の手で「つくる」体験

アイディアの種をひろげ、そこから形にすることを体験する場も用意されています。

「COSMOS(コスモス)」では、数ヶ月ごとにテーマが用意され、そのテーマにそって自由に発想、制作する環境が用意されています。中央のテーブルには、これまでに制作された作品たちが並び、その周囲の壁に沿って、多数の工作テーブルが用意されています。

「COSMOS(コスモス)」  photo by ぷらいまり
COSMOS(コスモス)(写真撮影:ぷらいまり)

会場にある様々な材料や器具を自由に使うことができるので、手ぶらでも行っても楽しむことができます。また、制作した作品はスタジオで撮影を行い、会場内にプロジェクションで展示されます。

「PHOTON(フォトン)」のコーナーは、じぶんの考えや作品を、写真や動画・アニメーションにして発信するスタジオ。ストップモーション、アフレコ、スローモーション、ズームアウトという4つの撮影スタジオでそれぞれのテクニックを体験することができます。

PHOTON(フォトン)  photo by ぷらいまり
PHOTON(フォトン)(写真撮影:ぷらいまり)

「THECHNITO(テクニート)」のコーナーには、レーザーカッターや3Dプリンターも用意され、今後、子どもから学び続ける大人まで体験可能な、プログラミングや電子工作などを組み合わせたものづくりができるプログラムが行われるそう。

科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)。アート(Art)、数学(Mathematics)の5つの領域にまたがる「STEAM教育」が注目される今。従来の「科学館」とは違った方法で、まなぶ、ひらめく、つくるといった流れを体験できるユニークなミュージアムですね。

photo by ぷらいまり
(写真撮影:ぷらいまり)

施設情報

施設名    パナソニック クリエイティブミュージアム「AkeruE(アケルエ)」
公式サイト https://www.panasonic.com/jp/corporate/center-tokyo/akerue.html
営業時間  10:00~18:00(最終入館は17:00まで)
休館日   毎週月曜日
入場料 (税込) 大人/ 子ども(小学生以上)700円(オープン初期は200円割引適応)、 団体300円(15名以上、 60分コース) ※未就学児は無料です。
住所  〒135-0063 東京都江東区有明3-5-1 パナソニックセンター東京 2~3階

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WRITER PROFILE

ぷらいまり

都内でサラリーマンしながら現代アートを学び、美術館・芸術祭のボランティアガイドや、レポート執筆などをしています。年間250以上の各地の展覧会を巡り、オススメしたい展覧会・アート情報を発信。 https://note.com/plastic_girl

Twitter:@plastic_candy

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