展望台からストリートへ。 ”鳥の目” と ”ネズミの目” で見る渋谷のカルチャー ーーEVERYDAY HOLIDAY SQUAD SOLO EXHIBITION「DOWN TO TOWN」(SHIBUYA SKY)

ぷらいまり
ぷらいまり
2022.07.02

「渋谷」といったら、どんなイメージがあるでしょうか?「若者の街」や「流行の街」といったイメージを持つ人が多い一方、最近では再開発も進み、「大人の街」のイメージをもつ人も多いのだとか。

そんな変わりつつある渋谷に2019年に開業した渋谷スクランブルスクエア。その展望施設「SHIBUYA SKY (渋谷スカイ)」で、渋谷のストリートから現代美術までを横断する展覧会が開催中です。

この記事では、SHIBUYA SKYで開催中の「EVERYDAY HOLIDAY SQUAD SOLO EXHIBITION「DOWN TO TOWN」」をご紹介します。

展望台から「鳥の目」で見る 渋谷の街

会場は「渋谷スクランブルスクエア」の展望施設「SHIBUYA SKY」の46 階。ここは渋谷で一番高い場所で、眼下には渋谷の街が一望できます。

「SHIBUYA SKY」から新宿方面の風景 photo by ぷらいまり
「SHIBUYA SKY」から新宿方面の風景(写真撮影:ぷらいまり)

そんな風景と並んで展示されているのは、街なかにある地図の看板をベースにしたスプレーの”落書き”のようなユーモラスなイラスト≪down to town≫。このように、何度も描いたり消されたりを繰り返したグラフィティ、渋谷ではよく見かけますよね。

≪down to town≫ / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD photo by ぷらいまり
≪down to town≫ / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD(写真撮影:ぷらいまり)

この展覧会は、匿名アーティストグループ「EVERYDAY HOLIDAY SQUAD(エブリデイ・ホリデイ・スクワッド)」の展覧会。そして、この展覧会を企画するアートチーム「SIDE CORE」はストリートカルチャーを軸に、路上から美術館までさまざまな場所で作品制作や展覧会を開催しているアーティストです。

まるで箱庭のように渋谷の街の地図が区切られ、それぞれの場所で採集した写真やオブジェを並べた作品は≪stranger'sstrage≫。「流行の街」渋谷を象徴するようなランドマークの隣に見えるのは、一転して少し懐かしい雰囲気の風景や室外機の並ぶ”裏側”の風景であったりと、渋谷の様々な側面が見えてくるようです。

≪stranger’sstrage≫ / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD  photo by ぷらいまり
≪stranger’sstrage≫ / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD(写真撮影:ぷらいまり)

作品から少し目をうつすと、展望台からは「鳥の目」で、実際の渋谷の街並みを俯瞰して見られるので、作品と照らし合わせながら、同じ渋谷の街でも、エリアによって少しずつ印象の異なる様子が大きな視点で捉えられます。

マップを片手に「ネズミの目」で歩いて見つける渋谷のカルチャー

展望フロアの最後に、等身大のネズミの人形が眺めているのは≪river diver map≫。渋谷のカルチャーの水脈を表現した地図です。

≪river diver map≫ / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD  photo by ぷらいまり
≪river diver map≫ / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD(写真撮影:ぷらいまり)

地図の中には、渋谷のなかを大きな川がクロスするように流れ、会場の渋谷スクランブルスクエア付近で合流する様子が描かれています。宇田川と穏田川という2つの川は、現在ほとんどが暗渠(川に蓋をした空間)となっていて普段は意識することがないものの、私たちの生活する空間の下に流れ続けているんですね。

そんな渋谷川の源流に遡ることと、渋谷のカルチャーの歴史を遡ること。≪river diver map≫には、そんな2つの意味が重ね合わされています。マップは持ち帰ることができるので、展望台から降りたら、渋谷の街をマップ片手に巡ってみましょう。

これまで何度も通っていた道にあって、気づかなかったグラフィティや、「あれ何だろう?」と気になってはいたけれどそのままにしていたオブジェなど、今までに知らなかった様々なカルチャーの痕跡が見えてきます。

「このイラストって何だろう?」なんて、渋谷の街を歩きながら気になっていた場所、ありませんか?  photo by ぷらいまり
「このイラストって何だろう?」なんて、渋谷の街を歩きながら気になっていた場所、ありませんか?(写真撮影:ぷらいまり)

展望施設でこのマップを見ているのも「ネズミ」だったように、この展覧会には「ネズミ」のモチーフが多く登場します。ネズミは、アーティスト自身のポートレートであり、街に暮らす人々、私たち自身を表すもの。そして、アーティストは、ネズミのように自らの知覚で渋谷の街を徘徊し、街へ介入してきました。今回の地図を手に街を歩くことで、「ネズミの目」でみた渋谷の記憶が私たちの中にも再生されるようです。

展望施設とストリート 相互の視線をつなぐ試みも

「展望施設の上」と「ストリート」、2つの視点から渋谷の街をみてきましたが、展覧会の中には、この2つの視点をつなぐ仕掛けも。展望施設の上に設置された望遠鏡を覗くと、そこにはアーティストの作業着や普段着を身につけた等身大のネズミの人形が。

≪I’m looking at you≫/ EVERYDAY HOLIDAY SQUAD  photo by ぷらいまり
≪I’m looking at you≫/ EVERYDAY HOLIDAY SQUAD(写真撮影:ぷらいまり)

展望台から地上を見るときには、自分が一方的に見ているような気分になってしまうものの、実はわたしたちも遠くから見られているかもしれない…そんな相互の視点に気づかされます。

街が一望できる一方で、肉眼でも街の中を歩く人を捉えることができる、そんな「SHIBUYA SKY」ならではの空間で、普段とは違った目線で街を捉えられる展覧会です。

変わり続ける渋谷の風景を体感してみませんか? photo by ぷらいまり
変わり続ける渋谷の風景を体感してみませんか?(写真撮影:ぷらいまり)

展覧会は2022年7月24日まで。「SHIBUYA SKY」から、渋谷のカルチャーを再発見してみませんか?

プロジェクト情報

EVERYDAY HOLIDAY SQUAD SOLO EXHIBITION「DOWN TO TOWN」

公式サイト https://www.shibuya-scramble-square.com/sky/vol4sidecore

開催期間  2022 年5 月20 日(金)~7 月24 日(日)
開催場所  SHIBUYA SKY 46 階「SKY GALLERY」
参加方法  イベント当日のSHIBUYA SKY 入場チケット、もしくは年間パスポートをお持ちの方は、どなたでもご鑑賞いただけます。
入場チケットのご購入について、詳しくは下記サイトをご覧ください。
https://www.shibuya-scramble-square.com/sky/ticket/
※SHIBUYA SKY チケットは、事前に入場日時を指定して購入できる「WEB チケット」と、入場当日の窓口にて時間を指定して購入する「当日窓口チケット」がございます。「WEB チケット」は購入日の4 週間先の日付まで販売しています。
※SHIBUYA SKY チケットは数に限りがございます。希望日時のチケットが完売の場合は購入いただけません。
※入場後の滞在時間に制限を設けていませんが、退場後の再入場はできません。

ぷらいまり
WRITER PROFILE

ぷらいまり

都内でサラリーマンしながら現代アートを学び、美術館・芸術祭のボランティアガイドや、レポート執筆などをしています。年間250以上の各地の展覧会を巡り、オススメしたい展覧会・アート情報を発信。 https://note.com/plastic_girl

Twitter:@plastic_candy

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