台北メトロで見かけるキャラクターの「Uncle Tommy」とは?

Seikyo
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2020.05.08

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。

今回みなさんにご紹介するのは、台湾のグラフィックデザイナーのAUDさん。新型コロナウイルスの感染が世界的に広がっている中、感染の防止をグラフィックの力で世に訴えようとしているクリエイターの一人です。それでは、早速見ていきましょう!

台湾で注目されている、グラフィックデザイナーのAUDさん

台北に拠点を置くAUDさんは、主にグラフィックデザインやキャラクターデザインを得意とし、彼は日頃から社会問題にも関心を持っていて、それを表現したグラフィックの作品をSNS上で常に発信しています。そのポップでかわいらしいスタイルと、大胆な色使いで多くの人に親しまれています。

台北メトロのポスターに登場するキャラクターたち(画像提供:©︎AUdience)

ユニークなキャラクター、「鬍子大叔(Uncle Tommy)」

この「鬍子大叔(Uncle Tommy)」が最初に誕生したのは2013年。作者であるAUDさんが自身の顔の特徴を活かしつつ、リーゼントスタイルに髭を生やすという、自分の理想の容姿を反映したキャラクターを作ろうとしたのが始まりだそうです。

その後、2016年に「設計在臺北(World Design Capital Taipei 2016)」というプロジェクトの一環で、台北メトロの安全啓発のための一連のポスターで登場し、そのユーモラスなイラストと、赤・青・黄の3原色を使った鮮明な色の印象が公共空間に現れたことで人気を呼び、ネット上でも拡散し多くの人の反響を呼びました。

こうして日本の駅のホームでもよく呼びかけが行われている、「駆け込み乗車はおやめください」や「優先席は必要な方に譲りましょう」などといったルールやマナーをもとに、台北メトロのマナー呼びかけポスターが出来上がったのです。

駆け込み乗車を止めるよう促す公共ポスター(画像提供:©︎AUdience)

台湾と日本の電車はいくつか違うルールが存在します。例えば、台湾では駅構内や車内では清潔を保つために飲食が一切禁じられており、水を飲むことも罰金を科せられる恐れがあります。その反面、日本では通話は控えなければいけませんが、台湾では問題なく通話をしても構いません。あまり大声で話すのはどこに行っても嫌がられますが、やはり緊急で電話対応しなくてはいけない時もありますよね。

電車内でのマナーや、緊急時の対応について呼びかけている(画像提供:©︎AUdience)

プロジェクトの詳細はこちら https://www.behance.net/gallery/40916037/WDC-2016-

ポスターで新型コロナウイルス感染予防を呼びかけ

そんな中、今年に入って世界的に感染が広がってしまった新型コロナウイルスですが、AUDさんが自身の公式Facebookページに公開した三枚のポスターが話題を呼んでいます。

手を洗おう(画像提供:©︎AUdience)
マスクをつけよう(画像提供:©︎AUdience)
ソーシャルディスタンシング(画像提供:©︎AUdience)

手洗いやマスクの着用を励行すると同時に、人と人との距離を一定保つことで感染の抑制につながるということを、Uncle Tommyがユニークに表現しています。

今あらゆる場所で大衆に感染拡大の注意を呼びかけるポスターなどを見かけますが、やはりこうしてイラストを使うことで、ただメッセージを伝える一枚の紙ではなくなり、コミックのワンシーンのようなその先に広がる世界を堪能できる公共ポスターにグレードアップさせることができるような気がします。

グラフィックが世に与える力

ここまで、AUDさんと彼の作品についてご紹介させていただきました。
世の中にはみんなに有益で正しい情報を伝達するのに様々な手段がありますが、デジタルへの移行が増えて紙ベースの媒体が減ってきている中、こうしてAUDさんのようにポスターでもインターネットを通じて大衆に届けることが可能になり、少しでも多く人の意識喚起に役立っているなと実感しています。
外出が困難な今の時期だからこそ、SNSで活動を続けるクリエイターを応援していきたいものです。

では、次回もお楽しみに!

デザイナー情報

デザイナー AUD(AUdience)
Facebook https://www.facebook.com/AU.fundesign
Instagram https://www.instagram.com/aud.tw/
Behance https://www.behance.net/AUdienceFundesign

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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