多様な宗教が共存する、台湾の信仰文化とは

Seikyo
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2020.08.11
台湾南部の高雄市に位置する、仏教の寺院「超峰寺」

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。
今回は、台湾の人々の宗教事情についてご紹介したいと思います。

多様な宗教が共存する台湾

台湾は歴史的な背景から異なる民族によって様々な宗教が持ち込まれ、比較的多様な宗教観を持つ人々が暮らしています。仏教や道教、儒教など東アジアの主要宗教以外にも、大航海時代に西洋の宣教師によって伝えられたキリスト教や、主に外国人労働者によって形成されているイスラム教のコミュニティなども、少なからず存在しています。

「媽祖」を祀っている、台南市の「鹿耳門天后宮」

信仰の分布を見てみると、人口のおよそ8割を占めるのは台湾の民間信仰と呼ばれるもので、道教や仏教、儒教などが混ざり合った独自の発展を遂げた宗教です。その中でも中国由来の道教がベースとしてあることが多く、有名な神様でいうと航海や漁業の守護神「媽祖(まそ)」などがあります。

台湾では道教の神様が祀られている「廟」の中に仏教の「観音菩薩」が祀られていたりと、一つの廟の中に複数の宗教の神様が一緒に存在することが珍しくなく、独特な宗教的景観を目にすることができます。

1600年代に建てられた台湾で最も歴史が長い、台南の孔子廟。儒教の儀式などが今でも見られる

「素食」を食べるベジタリアンが多い台湾

台湾人の信仰に付随して特にご紹介したいのが、台湾人には菜食主義者が多いことです。仏教などの戒律から、お肉や乳製品を一切摂らない食生活を送っているベジタリアンやビーガンと呼ばれる人が一定数存在します。

台湾の街中でよく見かける、ベジタリアン向けのバイキング式の大衆食堂

台湾ではお肉を含まない料理のことを「素食」と呼んでいて、街中にはベジタリアン向けの料理屋さんや、一般の食堂でもお肉を含まないメニューが用意されていたりします。日本で言う「精進料理」に近いイメージで、台湾の素食料理は実にバリエーションが豊かで、お肉に近い味や食感を再現した料理など、人口の一定数を占めていることから、ベジタリアンにやさしい環境が整っています。

台湾のお寺の参拝文化とは

さてここからは、台湾の「廟」や「宮」での参拝文化についてご紹介したいと思います。

台湾人がお寺に参るタイミングは地域によって若干の差異は存在しますが、基本的に旧正月の年明けにお参りをする家庭が多いようです。その他にも、大学の入試試験の前日や安産のお祈りなどの願い事、厄除けなど、日本と近しく心の安らぎや相談事を求めて、不定期にお参りをすることもあります。

台湾の廟で見かける一般的な長いお線香

寺院に入ったら、まずは売店で線香を買います。日本人にもお馴染みの線香ですが、台湾の一般的なお寺で見るものはこのように形状が長いものが多く、手に持ったまま境内を廻ります。
本殿に向かって神様にお参りをする際のポイントとしては、自分の名前と住所、生年月日を心の中で唱えてからお願い事をします。廟のすべての神様に向けて参拝が終わったら、線香を本殿前の香炉に挿します。

神様への御供物。赤や金色の装飾を施したものが多い

神様へのお供物は、線香の売店で一緒にもらうことができ、南国の果物やお菓子などをお供えします。
また、より丁寧に参るには、「金紙」と呼ばれる神々に捧げる紙のお金を、参拝の最後に「金炉」に入れて燃やします。場所によっては、日本の神社のようなおみくじを引けるところもあったりします。

金紙を燃やす「金爐(きんろ)」。最近では環境に配慮して、燃やしていないところも多い

ちょっと複雑な手順とルールがある台湾のお寺の参拝文化ですが、みなさんも台湾のパワースポットに赴く機会がありましたら、ぜひお願い事をしてみてくださいね。

では、次回もお楽しみに!

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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