台湾の主要都市で広がっている、自転車のシェアサービスとは

Seikyo
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2020.09.15

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。

早速ですが、皆さんは街中で自転車を「レンタル」して使ったことはありますでしょうか。
今回は、台湾の街中で交通系ICカードをタッチするだけで自転車を借りられる、「公共レンタサイクル」をご紹介したいと思います。

台湾の各都市にある、「借りられる自転車」

ちょうど10年ほど前から、台湾で始まった自転車をシェアして使うサービス。その中で最も認知度が高く、オレンジ色の塗装の車体が印象的な「Youbike」は、先駆けて2012年に台北市で正式にサービスをリリースしました。その後隣県の新北市から始まり、徐々に南部の都市にもサービスを拡大し、現在では桃園市や高雄市、新竹科学園区などを含めた9つのエリアで利用が可能になっています。

基本的に同一市内であれば、必ずしもレンタルした場所で返却する必要はなく、市内のどのレンタルステーションでも乗り捨てが可能で、料金は利用した時間によって計算されます。

行き交う大学生で賑わう台湾大学前の交差点。オレンジ色の「Youbike」が目立つ
独自の事業体とシステムで運営している、台南の「T-bike」

2017年から台南でサービスを始めた「T-bike」

今回ご紹介したいのは、先ほどご紹介した「Youbike」と事業体と系統は異なるが、南部の台南市で運営されている、台南市公共自転車サービスの「T-bike」です。

2016年に正式にサービス提供を開始し、2020年6月現在では市内に75もの拠点を有しています。テーマカラーはエコでクリーンな印象の緑色で、市内に地下鉄やモノレールなどの交通機関が整備されていない中、地元民だけでなく訪れた観光客も気軽に利用できる移動手段となっています。

街中の拠点に設置されているKIOSK。ここで初回の登録申請や、クレジットカードでの精算が可能
KIOSKと共に設置されている自転車のレンタルステーション

利用方法はシンプルで、事前にサービスに登録しておいた交通系ICカードを持って拠点に向かいます。利用したい自転車を選んで特に故障がないことを確認したら、カードをセンサーにタッチし、対象の車体番号を選択します。すると、ステーションと自転車の連結が離れ、利用を開始できます。

目的地近くの拠点に着いたら、空いている駐輪スペースで自転車を返却し、その場で再度カードをタッチして料金を支払うという仕組みになっています。T-bikeの場合、料金体系は30分で日本円にして35円ほどととてもリーズナブルで、台南市民の場合は料金がもっと安くなります。

台湾で使われている交通系I Cカードの「悠遊カード」や「iPASS」でレンタルが可能
自転車の先端に取り付けられているステーションとの連結部分

車体の設備と多言語サービスの充実

T-bikeは街中で自転車を使って快適に移動ができるよう、ユーザーを考慮したうれしい機能が整っています。
人によって好みのペダルの重さに調整できたり、ナビゲーションとして使っているスマートフォンを置けるケースが自転車の前部に備えつけられています。
また、レンタルステーションのそばに設置されているKIOSKの操作画面は、中国語以外にも英語や日本語などに切り替えることができ、初めて訪れる外国人観光客にもやさしい配慮がなされています。

ギアの調整ができるT-bike。ブレーキは右側で行う
スマホをセットできるケースが前面に設置されている
目的地に着く前に途中で一時的に停車させたい場合は、防犯のためのチェーンも備え付けられている
KIOSKの操作画面は、なんと日本語にも切り替えが可能

選択肢が増える、街中での移動手段

レンタサイクルの最大のメリットは、やはり「コスト面の安さ」と「移動のしやすさ」でしょう。電気やガソリンを使わない環境にやさしい移動手段であるほか、目的地の最寄りの駅やバス停を気にせずにいられる、いわゆる「周遊型」の観光を楽しみたいという人にも向いていると思います。

その反面、天候に左右されたり、借りたい時に自転車がなかったり、逆に返却したいときにスペースが全て埋まっていたりなど課題はまだまだありますが、今ではアプリなどを利用して拠点の最新の駐輪情報を事前に確認できるので、自分の旅のスタイルにあった移動手段をその都度選ぶのが一番ではないかと思います。

では、次回もお楽しみに!

サービス情報

台南市公共レンタサイクル「T-bike」

オフィシャルサイト    https://tbike.tainan.gov.tw/Portal
パンフレット(日本語版) https://tbike.tainan.gov.tw/Portal/zh-TW/Other/Download/21

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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