コロナの最中、台湾が経済を回すために独自に発行した「振興三倍券」とは

Seikyo
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2020.10.21

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。

現在、新型コロナウイルスの影響で世界的に経済が落ち込んでいる中、各地で経済を振興させるための政策が打ち出されています。そんな中台湾では、「振興三倍券」という消費券を行政が発行した事例についてご紹介したいと思います。

行政が自ら消費券を発行

今回の経済振興施策のためにデザインされたロゴマーク(画像出典:https://twup.sme.gov.tw/3000/index.php?action=download)
今回の経済振興施策のためにデザインされたロゴマーク(画像出典:https://twup.sme.gov.tw/3000/index.php?action=download)

2020年の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、免れることなく経済的な打撃を受けた台湾。経済をいち早く回復させるために、今年の7月15日より、台湾の市民と居留権を持つ外国人配偶者などに向けて、普段の消費に使えるチケットが発行されることが決まりました。

「振興三倍券」が入った封筒の外観
「振興三倍券」が入った封筒の外観
消費券が綺麗に重ねて封入されている
消費券が綺麗に重ねて封入されている

消費券の額面は一人につき3,000新台湾ドル(日本円にして10,500円相当。以下「元」と称す)で、200元札5枚と、500元札4枚を受け取ることができます。場所は主に郵便局で受け取れるほか、コンビニエンスストアや一部提携されたスーパーやドラックストアでも、事前に予約をすれば受け取ることが可能です。使用期限は、今年の12月31日までとされています。

公式サイトではリアルタイムで、消費券の受け取り場所と受理できる件数を確認できる(公式サイト:https://3000.gov.tw/hpgmap/)
公式サイトではリアルタイムで、消費券の受け取り場所と受理できる件数を確認できる(公式サイト:https://3000.gov.tw/hpgmap/)

3倍もの経済効果をもたらすとされる

今回の施策で最も特徴的なのが、その受け取りの仕組みです。
実は消費券を受け取るには自身の健康保険証以外に、1,000元の現金と引き換えにする必要があり、1,000元を消費することが前提となっていて、その価値を政策によって3倍の効果にしたということになります。
要するに消費した一部が還元されるように考えられており、ただ受け取るのではなく、必ず一定金額を消費することを促す施策となっています。

キャッシュレス決済も生かした施策

行政の広報資料。キャッシュバックを受け取るために、非接触型ICカード・QRコード決済・クレジットカードなど多様な選択肢を用意している(画像出典:https://twup.sme.gov.tw/3000/index.php?action=method01)
行政の広報資料。キャッシュバックを受け取るために、非接触型ICカード・QRコード決済・クレジットカードなど多様な選択肢を用意している(画像出典:https://twup.sme.gov.tw/3000/index.php?action=method01)

実は今回、紙の商品券を受領する以外に、普段自分がよく使っているキャッシュ決済サービスと紐づけて、金額を還元してもらう方法を選択することもできます。
決済手段はクレジットカード以外に、EasyCardやiPASSといった非接触型ICカード、それからLINE PAYなどのQRコード決済が含まれており、かなり幅広く台湾で主流のキャッシュレス決済サービスが網羅されています。

政府からの還元を受け取るにはそれぞれのサービスのウェブサイトから申し込みをする必要があり、それ以降は普段と変わらず日常的に消費をすれば、自然と一定金額が還元されるようになっています。ちなみに、紙の消費券と違ってデジタル還元を選択した場合は、先に3,000元消費したのちに2,000元がキャッシュバックされるようになっています。

キャッシュバックされたお金は慈善事業に寄付することも可能。その方法が紹介されている(画像出典:https://twup.sme.gov.tw/3000/index.php?action=method01)
キャッシュバックされたお金は慈善事業に寄付することも可能。その方法が紹介されている(画像出典:https://twup.sme.gov.tw/3000/index.php?action=method01)

経済的ダメージを1日も早く回復させるために

ここまで、コロナの最中の台湾の経済振興政策をお届けしました。
世界的に経済が低迷する中、台湾ではいかにスピード感を持って支援を人々の手元に届け、また窓口の混雑を防ぐためにデジタル版の選択肢を用意するなど、色んな人の知恵を集めた施策だと感じました。

消費券を受け取った消費者たちが使い道に悩まないように、宿泊施設や商店も様々な消費券の利用を促すお得なキャンペーンを打ち出し始めています。1日も早く経済がいつもどおりに戻ることを願うばかりです。

では、次回もお楽しみに!

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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