巷の文房具屋さんが春聯で赤一色になる、春節シーズンの台湾

Seikyo
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2021.02.18
巷の文房具屋さんが春聯で赤一色になる、春節シーズンの台湾

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。

今回皆さんにご紹介するのは、中華圏の旧正月の伝統的な習わしの一つ、「春聯(しゅんれん)」です。
早速見ていきましょう!

漢字を書いた赤い紙を、家の入口に貼る風習

春聯とは中華圏における春節の風習の一つで、縁起のいい文字を赤い紙に書いて家の門や玄関・入り口に貼ることで、良い一年を迎えるという伝統的な習わしです。

門に貼られた春聯
門に貼られた春聯

春聯は文字数の違いやテキストの内容で色々なスタイルがありますが、「春」や「福」といった一文字で書く四角のタイプもあれば、7文字の縁起のいい対句を書いて門の両脇に貼るタイプのものもあります。伝統的には赤い紙に自分で書きますが、今では書店や文具屋で既にプリントされた商品を買って貼ることも多いです。

日本では中華料理店などでよく見かけることができます。

巷の書店や文具屋で始まる「春聯」セール

台湾では、ちょうど年末のクリスマスを過ぎた頃から1〜2月の春節シーズンに向けて、巷の書店や文房具屋さんで必ずと言っていいほど、春聯を含めた春節関連商品のバーゲンセールが始まります。赤と金は伝統的に縁起のいい色なので、お店の入り口は春聯で埋め尽くされ、赤一色になるのをよく見かけます。

春聯一つにしてもさまざまなタイプのものが売られており、十二支のイラストが描かれたデザインのものから、模様や装飾も様々で、この時期になるとお店全体がきらびやかな印象になります。

文房具屋の入り口が、春節関連の商品で埋め尽くされている
文房具屋の入り口が、春節関連の商品で埋め尽くされている

春聯以外にも、家に飾る置き物やお年玉袋、吊り下げる飾り物など、特に西暦の年明けからは街中で春節の雰囲気を感じることができます。

店内の天井にもずっしりと、お正月の飾り物が商品として吊り下げられている
店内の天井にもずっしりと、お正月の飾り物が商品として吊り下げられている
キラキラとした置き物が多い。手前に見えるのが赤いお年玉袋
キラキラとした置き物が多い。手前に見えるのが赤いお年玉袋
縦書きタイプの春聯。門の左右に貼ることが多い
縦書きタイプの春聯。門の左右に貼ることが多い

春聯と言えば、「春」と「福」

店頭に売られている様子
店頭に売られている様子

実際に店頭に置かれている春聯を詳しく見てみると、実に文字のフォントや色が違っていたり、その周りの装飾が微妙に異なっていたりと、どれを選ぶのか結構悩みますが、実際に家に貼った雰囲気を想像しながらデザインを選ぶと良いでしょう。

「春」や「福」など一文字タイプのもの以外によく目にする文字は、金運アップを意味する「招財進寶」、万事めでたく自分の思いが叶うということを意味する「吉祥如意」、五つの福が訪れる「五福臨門」などなど、どれも漢字からなんとなく縁起のいい言葉なのだと連想できるようなものが多いです。

本来は紙でできたものが多いが、最近は耐水性のある素材のものも多い
本来は紙でできたものが多いが、最近は耐水性のある素材のものも多い
「招財進寶」の四文字を合わせた合字
「招財進寶」の四文字を合わせた合字

実際に中国や台湾に行ってみると、「春」や「福」などと書かれた春聯がこのように逆さまに貼られているのを見かけます。これは「倒福」、「倒春」と呼ばれていて、文字の通り「倒れている=逆さまになっている」ことを意味しますが、これが中国語の「到」と同じ発音であることから、「春来たる」、「福来たる」という意味になるのです。

逆さまに貼ることで「春来たる」という意味になる
逆さまに貼ることで「春来たる」という意味になる

春聯を貼って、一年の運気アップ

ここまで、旧正月に春聯を貼り替えて新しい一年を迎える台湾人の風習についてご紹介しました。

中華圏では縁起のいいものは基本的に赤いものが多いので、お部屋に取り入れるとインテリアのアクセントになって、明るい気持ちになれます。
ぜひ皆さんも縁起のいい漢字を墨で書いて、お部屋などに貼って一年の運気をアップしてみてはいかがでしょうか。

では、次回もお楽しみに!

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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