江戸時代のウーバーイーツ!?あんな物まで運んでいた!江戸時代の出前事情を解説

谷口純平
谷口純平
2021.04.26

インターネットの普及により、今ではUber Eatsや出前館をはじめ、さまざまなデリバリーサービスが登場していますよね。最近では新型コロナウイルスの影響により、おうち時間が増えたことで、デリバリーサービスを利用し始めた方も多いのではないでしょうか。

忙しいときや人との接触を避けたいときに便利なデリバリーサービスですが、実は今に始まったことではありません。出前産業が発展したのは江戸時代中期と言われており、今ではあっと驚く意外な物まで販売されていたのです。

今回は、そんな出前産業の歴史や当時売られていた物など、江戸時代の出前事情を解説していきます。

出前は遊女の願いから始まった

出前の歴史は古く、江戸時代中期にまでさかのぼります。路上販売する商人の姿が、当時の浮世絵や落語に度々登場することから、江戸時代には出前文化が栄えていたことがわかりますね。

江戸時代の出前には、受けた注文を家まで配達するタイプと食べ物を天秤で担ぎながら売り歩くタイプがありました。天秤で担いで売る商人は「棒手振り」といい、浮世絵や時代劇にもよく登場します。事前に注文するための電話やファックスがなかった当時は、買ってくれそうな人の元へ商品を持っていく「棒手振り」が主流でした。

出前の起源はまだ明らかになっていませんが、一説には、吉原の遊女たちに料理を運んだのが出前の発祥だと言われています。吉原の遊女たちは特別な日以外、遊郭から出ることを禁止されていたのそう。そのため、出前が許された一部の高級遊女は、蕎麦やうなぎを頼んでいたようです。

鮮魚

江戸時代にもちろん冷蔵庫はありません。庶民は新鮮な魚を手に入れるため、家の近くに来た棒手振りから鮮魚を買っていました。

魚だけでなく、シジミやアサリなどの貝類も販売していました。桶の中にはまな板が入れてあり、ときにはお客さんの前で捌くこともあったようです。

野菜

大根や芋など、野菜を取り扱う棒手振りもいました。棒手振りは明け方になるとその日販売する商品を仕入れ、朝から町を練り歩いて販売していたようです。

毎日決まった時間に同じ場所を通るので常連客も多く、常連客から欲しい商品を聞いて翌日仕入れることもありました。

料理

出前の形態とは異なるかもしれませんが、うなぎの蒲焼や天ぷら、寿司、蕎麦など、さまざまな料理が路上で販売されていました。プロの味が自宅で楽しめるのは、いつの時代でも有り難いもの。江戸時代でも、忙しくて料理する暇がなかったり、どうしても料理する気が起きず家からも出たくない日には、すこし贅沢な料理を楽しんでいたのでしょう。

金魚

棒手振りが販売していたのは、食材や料理だけではありません。夏になると、天秤棒にぶら下げたたらいの中に金魚を入れ、独特な甲高い声を上げながら金魚を販売する「金魚売」と呼ばれる職業がありました。金魚売は季節の感じさせる風物詩として、夏の季語としても活用されます。

出前は日本の伝統産業

AmazonやUber Eatsなどの登場により、今では生活に必要な物はほとんど自宅にいながら手に入るようになりました。しかし、実はインターネットが普及するはるか昔から、日本では出前産業が発達し、さまざまな商品が売られていたのです。

江戸時代から続く出前産業は日本の伝統文化でもあり、これからも発展していくでしょう。数百年後は今では考えられないものを出前で頼んでいるかもしれません。

谷口純平
WRITER PROFILE

谷口純平

福岡在住。伝統工芸など日本文化を中心に活動。夢は「小学生のなりたい職業ランキング」の10位以内に"職人"をランクインさせること。折り紙は結構得意です(折紙講師資格取得)

Twitter:@jumpaper_inc

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