生活環境の変化や、目まぐるしい時代の変化で、現代人の身体は酷使されています。
でも、いつの時代も私たちの身体を作っているのは、私たちが食べる物。
健康意識が高まる近年、食品選びにこだわる人も増え、都市部でも各地でファーマーズマーケットが人気を集めていますよね。
今回は、株式会社4Naturehが展開する農業モデルCSAを取り入れた青山ファーマーズマーケットでの取り組みをご紹介します。
堆肥から野菜へ資源循環を実現するCSA(Community Supported Agriculture)とは?
「そもそもCSAって何?」って話ですよね。
CSAは、Community Supported Agricultureの略で、“地域支援型農業”と訳すことが出来ます。
仕組みは、まず消費者が農家の会員になり、その農家に1年分の野菜代を前払いします。
会員は1年間定期的に野菜を受け取りながら、生産者と直接コミュニケーションを取ることで、自分が口にするものに対して理解を深め、信頼できる野菜を食べることが出来ます。
さらに、会員の自宅で出た生ごみを農家と連携し、堆肥にして野菜の生産に使うことで、“生産・消費が1つの大きな循環のなかで行われる“というものです。
青山ファーマーズマーケットをCSAの中心地にする
なかなか農家さんと繋がることが難しい都市部でも、ファーマーズマーケットには全国各地の生産者と、美味しい野菜を求める人々が集まりますよね。
そのコミュニティに農家にも消費者にも嬉しいCSAの農業モデルを取り入れようとしているのが、青山ファーマーズマーケットです。
ファーマーズマーケットを基点にすることにより、生産者には通常販売しながら会員(消費者)への受け渡しを同時にできるメリットがあります。
会員側も、受け取りついでに他のお店をのぞいたり、他の農家さんと交流できたり、というメリットがあります。
さらに家庭でコンポストした堆肥の受け渡しの場にもなるため、野菜や堆肥のやり取りにかかる輸送費や燃料、時間を大幅カットできるというのが、人にとっても環境にとっても非常に有益です。
立場 | ファーマーズマーケットCSAのメリット |
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農家(生産者) | ● 事前に年間の購入費を受け取れる ● 事前に販売先を確定することができる ● 販売ロスを減らすことに繋がる ● 会員の堆肥をもとにして、肥料として有効活用することができる ● 会員から直接レビューを聞くことが出来る |
会員(消費者) | ● 定期的に新鮮な旬の野菜が手に入る ● 家庭の生ごみを回収してくれる(都市部のゴミ問題に貢献) ● 生産者とコミュニケーションを取ることで安心できる野菜を食べられる ● 堆肥を提供することで生産サイクルの一員になれる |
もちろんファーマーズマーケットとしても、定期的な出店や来客を増やすきっかけになるので、関わる全員が嬉しく、楽しめるプロジェクトというわけです。
プロジェクトには「農国ふくわらい」と「株式会社4Nature」
農国ふくわらい
記念すべき第一弾を務めるのは、もともとファーマーズマーケットに出店していた千葉県山武市にある「農国ふくわらい」。
農薬や化学肥料を使わない人参やビーツが人気の農園です。
日常的に地域との関わりを大切にしながら自分たちで作る堆肥を使っていることからも、地域、人、環境が関わり合いながら循環していく今回のプロジェクトにはぴったりだと言えますね。
株式会社4Nature
このプロジェクトを共に進めているのが株式会社4Nature。
主に地域循環と資源循環の2つを組み合わせたアプローチで事業を展開し、持続可能社会の実現に向けた仕組みを構築しています。
循環の中では誰もが“生産者”であり“消費者”である
これまでファーマーズマーケットは、「売る」「買う」の立場に分かれた人たちが食品の売買をする場でした。
ところが、CSAを取り入れることで、集まるすべての立場の人々がファーマーズマーケットを基点に、ひとつの大きな循環の構成員として存在することを可能にしました。
「家庭で出た生ごみをコンポストし、ファーマーズマーケットで農家さんに渡し、そのコンポストで育てた野菜を食べる」という循環は、生産者と消費者が互いを支え合い、コミュニティとしても発展していきながら、都市部が抱える生ごみ処理問題の解決にもつなげることができます。
互いに支え合い、意識し合う農業の大きな循環が当たり前になることで、私たちが“消費者”“生産者”という区切りを必要としなくなる日はそう遠くないのかもしれません。