自分にもしものことがあったら。あまり考えたくはないですが、そういった「もしも」はいつ誰に起こるかわからないこと。生きるって、儚いものなのだな……、とたまに考えることがあります。
私自身、もう四半世紀を生きている大人なのですが、ありがたいことに大切な人を急に失ったという経験はありません。だからこそ本当に大切な人を失ったとき、心が追い付かなくなってしまうのではないか、私はその悲しみを乗り越えられるのだろうかと思います。さらには私が急にいなくなってしまったとき、私の大切な人に最期の言葉を残せないのは、とてもさみしいことだなと思うんです。
少し暗い話になってしまいましたが、私の大切な人には、私があなたを大切にしていたということを伝えられる手段を残しておきたい。私がいなくなった後に、私を思い返せる何かがあれば……。
今回は、そんな「あのひと」に、あたたかさを届けてくれるプロジェクト「手紙寺」をご紹介します。
「死」と「生」、次元を超えてやさしく届く、あたらしい郵便システム
「手紙寺」では、普通の郵便物のお取り扱いはありません。一般的な郵便とは異なり、「死」と「生」を超えて届く2種類の郵便を取り扱っています。
1つは、自分が亡くなった後、のこされた大切な「あのひと」へ送る手紙、「ラストレター/手紙箱」。
もう1つは、すでに亡くなってしまった、大切な「あのひと」へ送る手紙、「手紙参り」です。
ラストレター/手紙箱
「ラストレター/手紙箱」は、申し込むと同時に「手紙箱」が渡され、写真や思い出の品、手紙を、「手紙寺」が預かってくれるというもの。年末には申込者に毎年「手紙箱」を預かっている旨の案内状が届くので、うっかりわすれてしまったということもありません。
手紙参り
また、ふと立ち止まってしまい、思うように足が出なくなってしまった時は、「手紙参り」をしてみるのもいいかもしれません。もう会えない人、と思ってしまうより、「手紙の中で向き合って会える」と考えれば、少しだけ前を向ける気がしませんか。
「手紙参り」は、今は亡き人に向けて書いた手紙を「手紙寺」に送ることで、お焚き上げをしてくれるというものです。心を込めて書いた手紙は、きっと「あのひと」に届くことでしょう。
手紙処
手紙を書きたいけれど、どうやって書いたらいいかわからない。家族や大切な人に見られたくない。そんな人は、静かな場所でリラックスし、楽しみながら手紙を書ける「手紙処」を訪れてみてはいかがでしょうか。
手紙を書くための環境と便箋、封筒、筆記用具などが用意され、お茶やコーヒーを片手に手紙を書くことができます。
大切な人に「大切だよ」を、手紙で伝えませんか
「あのひと」の想いが届く場所、あなたの想いを届ける場所。
そんなあたたかな場所を作りたいと、「手紙寺」を設立したのは、東京・江戸川区に1200年以上の歴史を持つ證大寺のご住職。お父様が亡くなられた後や、大切な人と別れた後など、多くの手紙を書く上で、手紙を書くためのしっくりとくる場所がなかったというご自身の経験から、「手紙寺」「手紙処」とプロジェクトの幅を広げていったのだといいます。
「手紙寺」では、このほかにも岩井俊二監督の映画「ラストレター」とのコラボキャンペーンや、六本木の書店「文喫」との企画展など、さまざまな企画を行っています。
手紙を身近に感じ、その尊さと、相手の気持ちに寄り添う。
大切な人に、大切な言葉を、今のうちに。手紙で伝えてみませんか。
サービス情報
プロジェクト名 手紙寺
公式サイト https://tegamidera.jp/