タンパク質は着る時代へ！新素材「ブリュード・プロテイン™」が未来を変える！

エネルギー資源の枯渇、フードロス、マイクロプラスチック、異常気象…
地球上で暮らす私たちにとって、目をそらさずに向き合わなければならない課題が多くある現代。

世界中の国、企業、民間レベルで、住みやすく、無駄のない、美しい環境を持続していくための取り組みが求められています。

そんな中、繊維業界に新しい風が吹こうとしています。
今回は、きっとこれからどんどん身近になっていくであろう大注目の新素材「ブリュード・プロテイン™」を、一足早くご紹介します。

新素材「ブリュード・プロテイン™」って何？

「サステナビリティ」という言葉を聞いたことはありますか？
“自然環境や人間社会などが機能やシステムを失わずに、長期にわたり良好な状態を維持させるための考え方”のこと。

つまり、これまでの産業優先・消費優先の社会から、なるべくムダを無くし、環境負荷の削減を前提とした、住みよい社会へ変えていこうという流れです。

今回ご紹介するのは、山形県にある新世代バイオ素材開発に取り組むSpiber（スパイバー）株式会社が生み出した新素材、「ブリュード・プロテイン™」です。
ブリュード・プロテイン™とは、植物由来の原料をもとに、Spiber独自の微生物を用いた発酵プロセスによってつくられる人工構造タンパク質素材。

つまり、植物由来の原料をベースに微生物の力を利用して作るので、製造における環境負荷が非常に低いんです。

しかし、ただ「環境に優しいから凄い」というわけではありません。素材としての魅力にも溢れています。

シルクのような光沢と繊細さを持つフィラメント糸、上質でなめらかな肌触りのカシミヤや、保温・保湿性に優れたウールのような紡績糸、まるで本物と見間違うようなアニマルフリーファーやアニマルフリーレザー、べっ甲や水牛の角のような樹脂材料、さらには医療用材料から、次世代軽量複合材料への添加剤まで、実に多様なかたちに姿を変え、私たちの生活を支えることができます。

公式HPより

このように、生地としての肌心地に加え、機能性も用途に合わせて付与することができ、さらには多様な形に変わる汎用性もあるという、夢みたいな素材なんです！

「着る」から変えられる私たちの世界

「ブリュード・プロテイン™」の環境に対するメリットも、もう少し詳しくみてみましょう。

まず化学合成繊維のように、枯渇が心配される石油を主原料に使用していないため、マイクロプラスチックを発生させることもありません。
温室効果ガスの排出量も削減し、大気への影響も大幅に抑えらる可能性があります。

現在使用されている様々な素材と比較しても大いに可能性を秘めており、2021年に完成するタイプラントが本格的に稼働すれば、数百トン単位での量産が見込まれています。
微生物の力を活用して人工的に作られたタンパク質を、誰もが着ることのできる時代は、思っているより、もうすぐそこなのかもしれません！

有名アパレルブランドとコラボ

ファスト・ファッションという言葉があるように、私たちは、季節が変わるたびに新しい洋服を手に入れては、手放してきました。

もちろんファッションは楽しみたい。
でも、作られては捨てられていく服を眺め、本当にこのままでいいのだろうか？という思いを抱く人もいると思います。

見て美しく、着て心地いい服。そして、それが環境負荷の少ない素材であったなら。
未来を考えるデザイナーやクリエイターたちが、私たちに「ブリュード・プロテイン™」でつくる新しいファッションを提案し始めています。

THE NORTH FACEのMOON PARKA（ムーンパーカ）

スポーツアパレルブランド・ゴールドウインとの共同研究開発により、2019年に誕生したムーンパーカーは、表地が「ブリュード・プロテイン™」100％で作られた次世代のアウターです。

ゴールドウイン社が定める厳しい品質基準をクリアしながら、主原料に石油資源を使わない「ブリュード・プロテイン™」を用いたジャケットは、自然と調和しながらも、美しさや心地よさを追求した製品で、限定販売にも関わらず大きな話題になりました。

パリ・ファッションウィークにも登場

ファッションデザイナーの中里唯馬氏は、2019年に続き、2020S/Sコレクションにも全ルックに「ブリュード・プロテイン™」を採用。

新しい素材が、才気あふれるデザイナーと出会うことで、高次元の美しさを生み出しています。
Spiber公式HPでは、思わず触れたくなるような、繊細で美しいルックが堪能できるコレクションの動画もあるのでぜひご覧ください！

新しい素材で新しい未来

きっと私たちは近いうちに、「ブリュード・プロテイン™」という新素材をいろんなところで耳にすることになると思います。
地球の未来に間違いなく大きく貢献してくれる山形発の新素材。今後も目が離せませんよ！

サステナブルな暮らしって、決して質素ではなくて、今よりもっとずっと心地よくて豊かになることなのかもしれませんね。