【ナンスカピーポー】ベラスケスの絵をみて「なんちゅー絵がうまい写実絵画や!」と思った中学時代(第2回 AICONさん)

川勝小遥
川勝小遥
2019.04.19
ナンスカピーポー02

どもー!川勝小遥です。

第2回目のナンスカピーポーはペインターのAICONさんです!

AICONさんとは、去年の10月末に開催された渋谷cast前でのフリーマーケットで出逢いました。彼女の関西人らしいゆるさと面白さと美貌と、オープンマインドな雰囲気に魅力されたのは記憶に新しいです。まだ出会って間もないですが、何処と無く私の幼馴染に似ている事もあり、まるで昔からの友人の様に感じています。

そんな彼女の作品は『NEO CLASSIC』と謳われ、ミニマルで洗練されたそのバランス感覚に見惚れます。きっとここに至るまで、絶え間無い鍛錬と確固たる表現したい世界観を持っているからこそだと感じます。今回は、そんな彼女にどんなターニングポイントがあったか、そして、さらに挑戦してみたいことについて伺ってきました。

中学生の時に見たベラスケスに衝撃!

AICONさんの作品その1
AICONさんの作品(2007年『たばこを吸うまっちゃん』)

__早速ですが、現在の活動に至るご自身のターニングポイントについて教えて下さい。

小さい頃から絵を描くことが好きだったんですが、中学生になった時に今の原点に出逢います。世界史の教科書に出てくる西洋絵画で、中でもディエゴ・ベラスケスに心奪われました。「なんちゅー上手い写実絵画や!」と衝撃を受けましたね。その衝撃を胸に美術系の学科がある高校に進み、芸術大学を目指して、京都精華大学の洋画(油絵)学科に入学します。

大学時代は恵文社という京都の一乗寺にある本屋さんでアートブックをよく漁っていたのですが、そこで第2の衝撃を受けます。

写実的でトリッキーな絵を描くテリー・ロジャースです。また、その衝撃と同じくらいに、サンフランシスコのMOMAで拝見した画家ティム・ガードナーが圧巻でした。それこそ5cmくらいまで近づかないと本当に写真にしか見えないんですよ!

憧れのアーティストとのお仕事は一生の思い出

__ほお!ここまで3人の画家の名前が出ましたが、共通点が写実的な人物画ですよね。

そうなんです。物心がついた時から絵を描く=人の顔を描くっていう感覚だったんですが、衝撃を受けた三者を通じて益々人の顔を描くことに取り憑かれました。大学を卒業してからもその欲求は収まらず、プリクラ画像を油彩で忠実に表現するという奇行な仕事の依頼もされたことがあります(笑)。憧れのスチャダラパーさんとのお仕事で、一生の思い出です。

 

スチャダラパーとのお仕事作品(2008年)
スチャダラパーとのお仕事作品(2008年)

__私もスチャダラパーさん大好きです! その頃と今ではスタイルに変化がありそうですが、キッカケはありましたか?

より感覚にフォーカスして描きたいと思いはじめたのがキッカケですね。描き心地もそうですし、描く人物像もアンニュイな表情を求めました。そこから白と黒や、明と暗の2色だけで描く、いわゆるデッサン的な表現を始めてみたのですが、これが思いの外シックリきて。そこから今のスタイルに繋がっていきます。

 

AICONさんの作品
2015年頃のAICONさんの作品

作品を作りながら「嗚呼、人間の宇宙…」とドラマを感じる

__もう少し詳しく伺いたいのですが、AICONさんの最新の線で描かれている作品は、どこか近未来的なものを感じさせます。作品づくりのソースは人の顔以外にもあるのでしょうか?

「宇宙」ですかね。といっても、量子とかミクロの世界の物理現象の分野です。この広大な宇宙も人間も、原材料は同じ量子。量子の最小単位である素粒子はごく小さなエネルギーの糸の振動からできていて、人も元をたどれば糸の振動なのかぁって、考えだすと面白すぎて。

宇宙に興味が湧いたのと同時期に、紙幣で用いられている線描技法を真似て描いていた事が上手くリンクし、今のスタイルが生まれました。私はそれを”The Human Universe in Neo Classic”と呼んでいます。

最近のAICONさん作品その1
最近のAICONさん作品その1

__なるほど!マジックの種明かしをされた気分です。今挑戦してみたいことはありますか?

AICONフィルターによる時代の空気感を、もっと作品に反映させたいですね。いま台頭しているテクノロジーって宇宙の話とかなり相互作用を起こしていて、ほんと面白い時代だなって思うんです。また、人、宇宙、テクノロジーがどんどん距離を縮めているという感覚から、一見無機質な方向に行っているように思えてるけど、引き続き人は俄然エモいなぁと。

それから、粒子が「波であり粒でもある」という相反する性質を同時に抱えていることと、私たちの好きと嫌いが同居した白とも黒ともつかない、霧がたったような気持ちは重なる部分があるなと思っていて。嗚呼、人間の宇宙…と、もぉドラマ感じちゃうんですよね(笑)。

そういった私のフィルターを作品に盛り込んでいきたいです。

マイペースに走りながら、たくさんの人と作品を共有していきたい

最近のAICONさん作品その2
最近のAICONさん作品その2

__とてもAICONさんらしいですね! 次の作品が本当に愉しみです。ちなみに今やってみたい事ってありますか?

AIのプログラミングかな(笑)。

ウェブデザインをやっていたりもするので結構いけると思うんですけどね。安易かな?(笑)せめてどうやって使うのか知りたい。それからNASAやJAXAと絵のお仕事がしたい。日経サイエンスの挿絵もしてみたいです!!

__やりたい事がとても明瞭で気持ちが良いです。最後に読者に伝えたいコメントや告知などをお願いします!

マイペースに疾走していますが、また展覧会をやる際には面白い世界感をみなさんとシェアできたら良いなと思っています。是非、インスタフォローをお願い申し上げます~♪

__AICONさん、ありがとうございました!

 

次回は金工作家の服部美樹さんです!お楽しみにー!

AICONプロフィール紹介

AICONさん

AICON

神戸市出身、東京在住。
2008年 京都精華大学洋画学部卒業。
雑貨メーカーでのデザイナーやWebデザイナーを経て2014年より活動を始める。
『THE HUMAN UNIVERSE IN NEO CLASSIC』をテーマに、クラシカルかつ新たな切り口から描かれる作品は、その独自の世界観が注目を得て、国内外での個展を行う。

リンク集
公式サイト http://aiconworks.com/
Instagram https://www.instagram.com/aiconworks/

 

川勝小遥
WRITER PROFILE

川勝小遥

1990年生まれ京都市出身。空間演出作家、兼アートキュレーター。見た目は派手だけど、根はすっごく真面目。ドバイやバナナに興味津々。

Twitter:@1126koharu
Instagram:@koharu_kawakatsu

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