2019.09.26

誤用が多い!「なし崩し」ってどういう意味?

なし崩しって?

「明日のドライブ、楽しみにしてたのになし崩しになっちゃった

なし崩し」という言葉、会話や文章などでよく目にしますが、みなさんはどんなときに使いますか?

上記の例のように、約束していたことがキャンセルになってしまったり、ある予定のことがなかったことになったりした際に、使われることが多いと思います。

実はこの「なし崩し」の使い方、間違っているんです。

「ほんとに?」と思う人も多いのではないでしょうか?実は、本記事の筆者もその一人。今回は、そんな間違えやすい「なし崩し」について探っていきたいと思います。

「なし崩し」の本当に意味って何?

なし崩しの本当の意味

なし崩し」の本当の意味ってどのような内容なのでしょうか?辞書を調べてみると、以下のような意味で紹介されています。

物事少しずつ変えていくこと、徐々に変えていってそのまま始末してしまうこと、などの意味の表現。元々は借金少しずつ返済すること、徐々に済すことを意味した。転じて徐々に進捗している勢いのままに物事を進めきってしまおうとする様子などを指すことが多い。

引用元:weblio辞書『実用日本語表現辞典』より

「なし崩し」とはもともと「済し崩し」と書かれていました。借金を「なしくずし」ていく、すなわち借金を少しずつ返済していくことが元の意味だったんです。

時代の流れとともに意味合いが広がって、「物事を少しずつ変化させていくこと」を意味する言葉へと変わっていきます。現在わたしたちが普段使うように、「物事をなかったことにする」という意味は持っていないんですね。

「なし崩し」を本来の意味で使っている人はわずか2割

「えっ、今まで間違って使ってたの?」と思う人も多いと思います。それもそのはずで、2018926日付の日経新聞では、次のように「なし崩し」が紹介されています。

25日発表の文化庁の国語に関する世論調査で、「なし崩し」という言葉を「少しずつ返していくこと」という本来の意味で理解している人は全体の2割にとどまった。

「なし崩し」は「借金をなし崩しにする」などと使われる。国語辞典では本来の意味が最初に記述され、「なかったことにする」も併記されていることが多い。

「少しずつ返す」の意味だとしたのは19.5%で、どの年代でも20%前後にとどまった。「なかったことにする」は65.6%で、年代別では5070%台だった。

引用元:日本経済新聞『「なし崩し=少しずつ返す」、本来意味で理解は2割 文化庁調査』より

なんと本来の意味「少しずつ返す」という意味を理解していたのは全体の約26割を超える人が「なかったことにする」という意味で理解し、使用していました。

もうここまでくると「なかったことにする」意味の方が市民権を得ているような状況ですね()

「なし崩し」はネガティブな意味じゃない!

なし崩しはネガティブじゃない!

このように「なし崩し」は多くの人が「なかったことにする」というネガティブな意味でとらえていますが、本来「なし崩し」にはそのような意味はありません。

それでは、どうして「なかったことにする」という意味で使われるようになってしまったのでしょうか?

これには諸説ありますが、「なし」の部分を「済し」ではなく「無し」ととらえた人が多かったのではという推測もあります。つまり、「何もないように崩してしまう」⇒「なかったことにする」という変化ですね。

確かに「なし」を「済し」と読む習慣は現在のわたしたちには馴染みのないところです。そのため、「無し」という意味に引き付けて理解するのも仕方のないことですね。

とはいえ「なし崩し」の本来の意味にネガティブな意味はありません。日常生活ではあまり問題にはならないかもしれませんが、ビジネスシーンや公共的な場では本来の「少しずつ返す」という意味で使用するべきでしょう。

「なし崩し」を本来の意味で正確に使用するために、次の項では「なし崩し」の例文や類語を紹介していきます。

「なし崩し」の例文や類語

それでは、まずは「なし崩し」の例文を見ていきましょう。

「親からの借金を、毎月なし崩しに返済する」

「なし崩し」の「少しずつ返済する」という例文です。「なかったことにする」という文脈で読むと「借金を踏み倒すの?」と違和感を覚えるかもしれませんが、本来はきちんと少しずつ返済していくという意味合いになります。

「大量にたまった書類整理を、なし崩しに処理していく」

「なし崩し」の「少しずつ物事を片付ける」という例文です。こちらも「書類整理をなかったことにする」わけではないため、気をつけましょう。

「なし崩し」の類語

「なし崩し」の類語としては、「徐々に」、「少しずつ」、「だんだんと」などがあります。

このように例文や類語に置き換えてみると、「なし崩し」の使い方が見えてきます。最初のうちは違和感があるかもしれませんが、少しずつ慣れていくはずです。ビジネスシーンでの商談や公的な場所での発言で恥ずかしい思いをしないよう、徐々になじませていくことをおすすめします。

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ナンスカ編集部

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"日常の「何それ?」を楽しむメディア"ナンスカの編集部です。

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