テレビなどを見ていると、外国人の方が「日本語って難しい!」と言っているのを目にしたことはありませんか?
それもそのはずで、日本語は英語、フランス語、中国語などと比べても遥かに語彙数が多く、似たような意味の言葉がたくさんあります。母国語として使用している日本人ですら、間違えてしまいますもんね!
今回は、そんな間違えやすい日本語から、「憮然」をチョイス。間違った使い方、していませんか?
まずは「憮然」の読み方からおさらい!
「憮然」と漢字を見せられても、読み方から「?」となる方もいますよね?
「憮然」は「ぶぜん」と読みます。
「然」は「自然(しぜん)」など、身近な言葉と同じ熟語のなりたちとなっているので、読みやすいですね。一方、「憮」は、なかなか目にしない言葉です。
「憮然」の読みは、「ぶ」で、「りっしんべんに無い」と書きます。意味は、「がっかりする」とか「失望する」という意味です。「心が無くなる」と考えれば、覚えやすいでしょうか。
「憮然」の意味は?
さて、次はいよいよ憮然の意味のご紹介です。憮然の正しい意味は下記のとおりです。
憮然(ぶぜん):失望・落胆してどうすることもできないでいるさま。また、意外なことに驚きあきれているさま。
引用元:コトバンク『デジタル大辞泉』より
「憮」という文字が意味している流れから、憮然は失望や落胆して落ち込んでいる様子を表しています。そこから転じて、意外なことが起こった際に、あきれる様子でも用いられます。
顔の表情でいうと、「しょんぼり」とか、「無表情」とかの様子が近いです。
憮然の意味を見て、違和感を感じた方はいませんか?筆者もその一人です。それは、憮然がとても間違えられやすい日本語であるからかもしれません。
「憮然」、実は間違えて使ってませんか?
憮然は、文化庁が定期的に調査している「国語に関する世論調査」でも取り上げられています。平成15年度に実施された文化庁の調査では、下記のような結果が出ているんです。
なんと、50~59歳の年齢層では、実に約8割の人が本来の「失望してぼんやりとしている様子」ではなく、「腹を立てている様子」として憮然をとらえています。
だから、憮然と聞いて、怒っている表情を想像しても、無理はないことなんですよね。
面白いのが、比較的若い年代のほうが意味を正しく理解しているということ。学校教育を受けてから日がたっていない年齢の人のほうが、正しく憮然を使っているようです。
知らず知らずに憮然を「怒っている」様子で使ってしまって、若い人からミスを指摘されたくはないですよね…。というわけで、実際の使い方や例文をとおして、憮然の正しい使い方をならしていきましょう。
正しい使い方と例文をご紹介!
熟語や単語を正しく使っていくには、実際の使い方や例文にあたるのが一番の近道です。憮然を使った例文としては、下記のような文章があげられます。
・可愛がっていた犬が事故死してしまったと聞き、憮然と立ちつくしてしまった
・あまりにもショックなことがおき、憮然として声も出なかった
・そう憮然とした表情でいつづけると、周囲に心配をかけてしまう
・受験発表を見に行った友人は、憮然として不合格を告げた
憮然は、失望してぼんやりしている、落胆してがっかりしている様子を表しています。何かショックな出来事がおきてしまった後や、落胆するような出来事が起きた後、何もアクションができないような状態を言い表すときに使用します。
現在では、「腹を立てている様子」が市民権を得ている状態なので、思わず怒っているときにも使ってしまうかもしれません。友人や身内で話している分には問題ありませんが、ビジネスでの商談など、公的な場所での発言では恥をかいてしまうこともあるため、注意してくださいね!