2021.06.14

テクノロジーとファッションで身体を拡張。身体の多様性を考えるファッションショー「True Colors FASHION」

「True Colors FASHION 身体の多様性を未来に放つ ダイバーシティ・ファッションショー」と題するファッションショーが、2021年5月30日にオンラインで開催されました。モデルとして参加するのは、腕や足を失った方々や、視覚や聴覚に障がいのある方々。モデルとデザイナーがタッグを組み、対話を繰り返す中で新しいファッションを提案する新しいかたちのファッションショーからは、どんな未来が見えるのでしょうか?

この記事では、モデルの身体を起点につくられたファッションから、身体の多様性を考えるダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHIONをご紹介します。

True Colors Festivalとは?

日本財団が主催するTrue Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭 – 世界はいろいろだから面白い-は、パフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむ芸術祭。誰もが居心地の良い社会の実現につなげる試みです。

身体の多様性を考えるダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」

この試みの一環として開催される今回のファッションショー「True Colors FASHION」。モデルを務める方々は、個性的な発信を続けている皆さん。デザイナーやテック企業がモデル当事者の性と身体に向き合い、それぞれの個性を表現するためにクリエーションを重ねた今回のファッションショー。身体の多様性について、ファッションを通じて発信するというのは、衣服を見せることを主体としたファッションショーとは違ったスタイルですね。

多様性のある社会をテクノロジーで実現する研究を数多く手がけてきたメディアアーティストの落合陽一さんを総合演出に迎え、モデル・テック企業・ファッションブランドがタッグを組んだ11組のチームがランウェイを歩き、インタビューでその制作プロセスを明らかにしていきました。

多様で魅力的なファッションをご紹介

今回のファッションショーに参加した11組の作品から、一部をご紹介します。

腕がないことを「不在」と捉えないトレンチコート。(Mission ARM Japan x Hatra)

身体の多様性を考えるダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」

骨肉腫や滑膜肉腫といった病気のために片腕を失った女性のためにデザインされたトレンチコート。片側にガンフラップ(もともとは銃を背負う機能)があるデザインをフレアの袖にみたて、自然なアシメントリーをかたちづくっています。

不自然さのない見た目だけでなく、例えば、コートに備え付けられた紐を引くと袖をまくることができたり、端がマグネットで着脱しやすいファスナー、書類を脇でホールドできる機能など、身体の特徴に合わせた機能も盛り込まれています。対話によって時間をかけて課題をあぶり出し、デザインに入れ込んでいきました。

光で音を体感するアクセサリー。(Pippi x Ontenna x ANREALAGE)

身体の多様性を考えるダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」

光で色が変化する服や、人の体温で変形する服など、テクノロジーを取り入れながら、新しい取り組みを続けてきたファッションブランド「ANREALAGE」。今回は、音を体で感じるアクセサリー型の装置「Ontenna」とコラボレーションしています。

ヘッドピース、イヤリング、ネックレスといったアイテムが、光を通す細い柔軟な繊維(光ファイバー)を用いた糸で作ったニット組織とレース組織から成形されています。ステージでは、音楽に呼応して、ヘッドピースや襟が明滅し、聴覚情報を視覚情報に「翻訳」していきました。

音楽を振動で体感し、踊る軌跡を視覚的に増幅させるジャケット。(GenGen x Live Jacket x KANSAI YAMAMOTO)

身体の多様性を考えるダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」

こちらのモデルは、難聴ダンサーとして活躍するGenGenさん。KANSAI YAMAMOTOの最新コレクションを拡張したジャケットは、フリンジやチェーンの装飾を組み合わせることでGenGenさんの踊る軌跡を視覚的に増幅させて見せます。また、インナーには「Live Jacket」という、音を振動に変えることで、音を身体で感じることができるジャケットも。

「車椅子は障害者のものである」という常識を変えるモビリティ。(我妻 マリ x ヴィンテージファッション x WHILL)

身体の多様性を考えるダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」

7歳からモデルとしてのキャリアをスタートさせ、70歳を超えて現役モデルの我妻 マリさん。彼女がエレガントに搭乗するのは、スタイリッシュな電動車椅子WHILL。車椅子は障害者のものであるという常識を変え、自転車に乗るような感覚でカジュアルに楽しめるファッションとしての車椅子という可能性を感じさせます。

どのファッションも、「不足するものを補う」だけではなく「魅力的に拡張する」提案ですね。このショーの様子と、出演者のインタビューはYouTubeにアーカイブされています

それは、未来の自分を助けてくれるかもしれないファッション

ところで、今回提案されたファッションの数々は、「特殊」なファッションなのでしょうか?

今回のショーの中で、はっとする解説がありました。それは、着脱しやすいなどの機能を加えた服は「”着せやすい”ではなく、”自立的に着られる”服」であること、そして、「誰にでも着やすく、障がいのある人だけでなく、今後自分が年をとってからも嬉しい服」であるということ。

今は身体に不自由を感じていなくても、病気や事故で不自由になるかもしれない。それから、年をとって身体の機能が衰えていくのは誰にでも待っている未来。そう考えると、こうしたファッションは、特殊なものではなく、誰もが将来それに助けられる可能性のあるものに感じられます。

身体の多様性を考えるダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」

着脱のしやすさのような「使い勝手」と、気になる部分も「魅力的に見せる」工夫を凝らしたファッション。そして、見えづらい、聞こえづらい、動かしづらいといった身体の能力を「拡張する」技術。ファッションとテクノロジーの両面から多様な人の身体を考えることは、未来の自分を助けることにつながるかもしれないですね。

なお、今回のショーで使用されたアイテムの一部は、ポップアップショップとオンラインで展示・販売もされます。

「True Colors FASHION」Youtube配信

つぶグミ x TRUE COLORS FASHION

色認識の多様性をテーマにした限定パッケージのグミ。
530日〜 TOKiON the STORE 店頭などで無料配布!観覧後に感想を送ると抽選でプレゼント

応募フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc-N9Xj2SDpEwf4fnwNzGjpraPdAVOJDW-Jb8F_iY0YNzEhnQ/viewform

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ぷらいまり

ぷらいまり

都内でサラリーマンしながら現代アートを学び、美術館・芸術祭のボランティアガイドや、レポート執筆などをしています。年間250以上の各地の展覧会を巡り、オススメしたい展覧会・アート情報を発信。 https://note.com/plastic_girl
Twitter:@plastic_candy

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