駅とスマホから もっと身近にアートとつながる「Art Valley (アートバレー)」とは?

ぷらいまり
ぷらいまり
2023.02.07

私たちの生活に潤いを与えてくれたり、はっとする新しい視点を与えてくれるアート作品。そんな「アート」って、美術館など日常からは少し離れた特別な場所で見るものだったりしますよね。

そんなアート作品やアーティストと、もっと身近につながることができる新しい試みが、渋谷駅とオンライン上ではじまりました。この記事では、日々の暮らしの近くにアートを置く、東急の新たな試み「Art Valley (アートバレー)」をご紹介します。

駅や電車の中で、もっと身近にアートと親しむ

「Art Valley」は、交通や都市開発を手掛ける東急株式会社の新しいサービス。アート作品を購入・管理できるECサイト「Art Valley (アートバレー)」を軸に、SNSを通じたリアルとオンラインをつなぐ情報発信も行います。

特徴的なのは、駅のスペースを活用した作品展示を行ったり、電車内のモニター広告や情報誌をつかった作品やアーティストの紹介を行っていくこと。オンライン上だけでなく、駅や電車といった日常の延長にあるリアルな場所で、アート作品に触れたり、アーティストの想いに触れる機会が増えるんですね。

2023年1月23日からスタートした渋谷駅での作品展示の様子(写真撮影:ぷらいまり)
2023年1月23日からスタートした渋谷駅での作品展示の様子(写真撮影:ぷらいまり)

今後は、ワークショップや駅を使用したイベントも開催予定とのこと。将来的には、パブリックアートやアートによる町作りに活かして行くことなども考えているそうです。

アート鑑賞の「一歩先」へ、アートの購入ももっと身近に

こうした新しいサービスをはじめたきっかけは、「アート鑑賞の『その先』のハードルを下げたい」、そして、「アーティストの活動を応援する場を増やしたい」といった想いからなのだそう。

確かにアート鑑賞を楽しめるのは、まとまった時間をとって美術館に行ける週末だけだったり、美術館で作品は見ても家に飾るのは難しかったりと、”アートを生活の身近に置いて楽しむ”というのにはハードルがあるのかもしれませんね。

ECサイト「Art Valley 」は、マルチプル(量産)作品のようなお手頃なものから、デジタル作品、絵画や立体作品まで、いずれも「最初の1作品を買ってみようかな」と思った時にも一歩を踏み出しやすい作品が揃っています。作品やアーティストについての解説も掲載されているので、アーティストの想いや作品の魅力も伝わってきますね。

ECサイト「Art Valley 」 スクリーンショット
ECサイト「Art Valley 」 スクリーンショット

また「リアル」な作品と「デジタル」な作品の両方に、NFTに紐付くデジタル鑑定書が付属するのも特徴なのだそう。NFTと聞くと購入のハードルも高そうですが、このサイト内では普通のネットショッピングと同じように、サイト内でクレジットカードやApple Payでの購入もできます。

リアルスペースプロジェクトの第一弾は、デジタルとリアルを融合する作品

「リアル」と「オンライン」の両方でアートとつながる「Art Valley (アートバレー)」。2023年1月23日からは、リアルスペースでの第一弾の展示がはじまりました。多くの人が行き来する東急渋谷駅の改札前のガラス面に、大きな作品が展示されています。

リアルスペースプロジェクト第一弾の作品と アーティスト原田郁さん  仮想空間の理想郷が色鮮やかな3Dモデルで描かれています。(写真撮影:ぷらいまり)
リアルスペースプロジェクト第一弾の作品と アーティスト原田郁さん
仮想空間の理想郷が色鮮やかな3Dモデルで描かれています。(写真撮影:ぷらいまり)

第一弾のアーティストに選ばれたのは、原田郁さん。コンピューターの中に3Dモデリングソフトで理想郷をつくり、その風景を絵の具で描いた作品を制作されています。今回の展示は、そのもととなっているコンピューターの中のデジタルの風景をプリントしたものです。

これまで、「仮想空間」を描いたペインティング作品をギャラリーで展示してきましたが、コロナ禍を経て、”場所”や”時間”に制限されない鑑賞方法を考えることが増えてきました。そこで、最近はデジタルの世界をそのままお見せするような試みを始めています。

By 原田郁さん

今回、駅の中ではそのデジタルの世界が物理的な作品となって展示されていますが、ECサイトの中では初めてのデジタルのNFT作品も発表。展示された「仮想世界」にある看板や家の3Dモデルが、箱庭のように1つずつ販売されています。

アーティスト原田郁さん(写真撮影:ぷらいまり)
アーティスト原田郁さん(写真撮影:ぷらいまり)

駅に展示されている世界の中のどこかの景色が、サイト内の作品とリンクしているので、そのあたりを楽しんで頂きたいと思っています。

こちらの改札口は本当に沢山の方がご利用になられるので出勤時にも目に付くと思います。こういったリアルな場所で作品に触れて、ご自宅ではオンライン上でアートに触れて、と、場所と時間に捕らわれないアートの鑑賞や向き合い方が皆さんに届くといいなと思っています。

By 原田郁さん

ただECサイトでアートを購入するというだけではなく、リアルな空間とオンライン上の作品がリンクしながらも、それぞれに違った楽しみ方ができる取り組みですね。

多くの人が行き交う東急渋谷駅の改札前に展示されています。(写真撮影:ぷらいまり)
多くの人が行き交う東急渋谷駅の改札前に展示されています。(写真撮影:ぷらいまり)

今後も、曼荼羅をモチーフにした作品を制作する田内万里夫さんや、書道家 万美さんといったアーティストによる、リアルスペースとECサイトをつないだプロジェクトが展開されるそう。

リアルとオンラインの両方でアート作品やアーティストの思いに触れられる「Art Valley」で、もっと身近にアートとつながってみませんか?

プロジェクト情報

Art Valley (アートバレー)
ECサイト  https://artvalley-tokyu.jp/
Instagram https://www.instagram.com/artvalley_tokyu/

リアルスペースプロジェクト
場所  東急線渋谷駅、ヒカリエ改札口周辺吹き抜けガラス面
掲載アーティスト
第一弾 2023年1月23日(月)〜2月22日(水) 原田 郁(はらだ いく)
第二弾 2023年2月23日(木)〜3月22日(水) 田内 万里夫(たうち まりお)
第三弾 2023年3月23日(木)〜4月22日(土) 書道家 万美(しょどうか まみ)

ぷらいまり
WRITER PROFILE

ぷらいまり

都内でサラリーマンしながら現代アートを学び、美術館・芸術祭のボランティアガイドや、レポート執筆などをしています。年間250以上の各地の展覧会を巡り、オススメしたい展覧会・アート情報を発信。 https://note.com/plastic_girl

Twitter:@plastic_candy

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