3,500万円が当たるかも?!レシートは大切に取っておく台湾の人々

Seikyo
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2020.04.07

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。
今回みなさんにご紹介するのは、台湾人にとってすぐに捨ててはいけないレシート。

一体どういうことなのでしょうか。さっそく見ていきましょう!

宝くじがついている台湾のレシート

日々のお買い物で必ずお店からもらうレシート。台湾では「統一発票」と呼ばれていて、お店でもらった一枚一枚のレシートには、なんと宝くじの通し番号がついています。

普通のレシートと同じく、お店の情報や買い物の金額と時間などが載っているほか、この「WQ〜」で始まっている通し番号が、宝くじ番号にあたります。

台湾のお店でもらう一般的なレシート

毎年の奇数月に当選番号が発表され、年に6回は大金が当たるチャンスが訪れるということになります。
台湾の人々は、2ヶ月分集めたレシートを一枚一枚慎重に確認してから、やっと処分ができるのです。

当選番号を確認する方法とは

くじの当選番号は台湾の財政局によって発表され、このように当選番号や、当たった桁数によって賞金のランクが細かく決められています。金額が一番高い「特別賞」は、この番号と全く同じ通し番号のレシートを所有している人が獲得でき、日本円に換算して3,500万円相当もあります。それより下のランクは当たった番号の桁数によって賞金の金額が決まり、一番当たる確率が高いのが「第六賞」にあたる下3桁が同じ場合で、金額は日本円で700円くらいです。これは結構ラッキーな時に、年に数回は当たることがありました。

レシートの宝くじの当選番号を発表する、台湾財政部のオフィシャルサイト(http://invoice.etax.nat.gov.tw/)

ちなみに当選した番号のレシートの詳細な情報も、あわせて公開されます。なので自分が住んでいるところの近くのコンビニとか、スーパーが公表されると、一瞬自分ではないかとドキッとしてしまいます(笑)。

当選した場合は、レシートの裏側に必要な情報を記入して、指定の銀行やお店で賞金を受け取ることができる

もともとは脱税対策として始まった

そもそもなぜ台湾のレシートには、宝くじがついているのでしょうか。
実はもともと脱税防止と税収の安定化を図るために始まった制度で、台湾の政府が民間から徴収した「営業税」の収入の一部が賞金となっているのです。この宝くじの制度を導入したことによって、統一発票が登場した1951年から、政府の税収は大幅にアップし、まさに奇跡的な政策となったわけです。

政府に収めた税金がこういう形で還元されるのは、消費者としてもとても嬉しいことですね。

公式のレシート管理アプリが2018年にリリース

このレシートを一枚ずつ当選しているか確認する手作業ですが、当たるかどうかワクワクする反面、量が多いと確認漏れがあるのが心配になったりと、意外と大変だったりします。
特に普段からの消費が多いご家庭などでは、レシートが2ヶ月で100枚を超えることもざらにあるでしょう。

アプリ公式のプロモーション動画。UFOキャッチャーをモチーフに、賞金を受け取る拠点が増えたことを宣伝している

そこで台湾の財政部が2018年にリリースしたのが、このスマホアプリ。
まず、台湾で所持している携帯番号を使って登録し、個人のIDナンバーを取得します。次に買い物の際に、アプリに表示されたバーコードをレジでかざすだけで、自動的にお買い物履歴がクラウド上に保存される仕組みになっています。ユーザーはアプリ上でその履歴を閲覧することができるほか、宝くじの当選番号が発表されたら、アプリが勝手に全てのレシートの当選か否かの確認をしてくれるのです。事前に振り込み口座を登録しておけば、自動的に賞金が振り込まれるという、実に利便性抜群のアプリになっています。

外国人向けに、アプリの使い方を英語で紹介している(台湾財政部中区国税局Facebook:https://www.facebook.com/ntbca321)

近年台湾では、環境愛護の観点から行政のペーパーレス化が進みつつあり、お店で買い物するたびにもらっていたレシートの紙を減らそうという取り組みから生まれたサービスでもあります。このデジタル化されたレシートのことを、台湾では「電子発票」(電子レシート)、もしくは「雲端発票」(クラウドレシート)と読んでいます。

日本にもレシートをスマホで管理ができるアプリがありますが、このように政府が自らアプリをリリースしていることは、レシートや領収書の通し番号などの規格が全台湾で「統一」されている、台湾ならではの施策なのかもしれませんね。

レシートは慈善団体への寄付も可能

余談ですが、台湾では慈善団体にレシートを寄付することができます。
台湾の街中でよく見かけるのがこのような募金箱。いえ、募「金」箱ではなく、募「レシート」箱ですね(笑)。

台湾のマクドナルドに置かれている、レシートを寄付できる箱

もちろん当選してから得た現金を寄付することもできますが、「当選発表前のレシートで、もし賞金が当たった場合は全額寄付します。」という感覚で、普段のお買い物で気軽に社会的弱者の手助けができるかもしれないという考え方によってできた、いわば台湾流の寄付の仕方です。ちなみにアプリ上でも、簡単に当選発表前のレシートを寄付することができます。

行政のデジタル化が進んでいる台湾

台湾ではここ数年、行政のデジタル化を台湾政府をあげて進めており、高齢者もスマホを持ち始めている今、政府が行政の効率化を図り、市民も役所に行かずに様々な手続きができるという、まさに時間とコストを軽減した行政サービスの実現に向けて、動き出しています。日本でもマイナンバーカードが普及しつつあるなど、私たちの生活がより便利になるといいですね。

今回は台湾のレシート事情をお届けしましたが、みなさんも台湾を訪れてお買い物をした際には、是非レシートをしばらく保管しておいてみてください!宝くじの当選者は台湾人に限らず、外国人の場合でも現地で引き換える必要はありますが、賞金を獲得することができます。

では、次回もお楽しみに!

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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