世界的な「マスク難」の中、台湾がとった独自の対策とは?

Seikyo
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2020.06.03

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。

新型コロナウイルスの感染が広がる中、日常的に買えたマスクを入手するのがとても難しくなりました。
そんな中、今回皆さんにご紹介するのは、台湾のマスクに関する取り組みです。

では、さっそく見ていきましょう!

率先してマスクの購入規制を実施した台湾

今年の初め、ちょうどじわじわと東アジアで感染者が増えてきた頃、台湾は爆買いや買い占めを防ぐため、2月6日にマスク購入の「実名制度」を率先してスタートさせました。マスクを購入するには、薬局などに健康保険証を提示する必要があり、購入した日にちが記録され、買える枚数も定められています。

台湾の全民健康保険制度は、その証明となる保険証が2004年からICカード型に切り替わっているため、デジタル化された行政システムのもと、一人一人の購入枚数を政府が管理することが実現されたのです。

台湾全民健康保険のロゴマーク。ソーシャルディスタンシングを訴求するため、ロゴの中の2人が離れたデザインが公開された。

この世界的にスピーディーな対応ができたのも、2004年に流行したSARSが台湾で感染が広がったのと、ITリテラシーに長けた人材が政府内にいるなど、日頃から対策が行われていたのが初動の早さに大きく影響したと考えられています。

特設サイトかアプリでマスクの予約が可能

さて、個人のマスクの購入枚数に制限がある中、台湾の人たちはどのようなルートでマスクを手に入れることができるのでしょうか。
一番シンプルなのは、健康保険証を持って指定の薬局で購入することです。最初は一週間に2枚しか買えませんでしたが、マスクの海外輸出を制限し、徐々に民間の生産体制を整えた結果、現在枚数制限は二週間で9枚にまで増え、一枚の値段は日本円にしてなんと18円ほど(新台湾ドルで5元)に抑えることができています。手数料を足しても一回にかかる費用は200円を超えません。

次に、家の近くに薬局やドラッグストアがない場合や、海外に居住している人は、インターネットを通じて予約と支払いが可能です。

eMaskマスク予約システム(https://emask.taiwan.gov.tw/msk/index.jsp)

この「eMask」と名付けられたマスク予約の特設サイトでは、ICカードリーダーさえあればおうちでパソコンからマスクの予約とクレジットカードでの決済ができます。

eMaskの予約管理一覧画面

ログインするとこのように一覧で購入記録が表示されていて、支払い金額やコンビニ受け取りの時間や場所を管理できます。

好きな時間帯にコンビニで受け取り

今回は台湾にも進出しているファミリーマートでの受け取りの方法をご紹介したいと思います。
まず受け取り日が来たら、控えと身分証の番号を持って、コンビニのマルチメディア端末で受け取りの手続きをします。

台湾のファミリーマートには、日本と全く同じFamiportが設置されている
マスクを受け取るのか、新規に予約するのかを選択
ICカードを挿入して、そのまま次回の予約が可能

次に控えの番号と身分証の番号を入力して、ファミポートから出てきたレシートをレジに渡せば、受け取り完了です。

コンビニで受け取ったマスクの包装。政府が推奨するマスクの使用タイミングが書かれている
マスクには「Made in Taiwan」の文字が入っている

ちなみに、セブンイレブンやファミリーマートなどのコンビニ以外にも、一部のスーパーやドラッグストアでも受け取り指定が可能です。

デジタル化が進んだ中で構築できたシステム

ある日突然、お店でマスクが買えなくなり誰もが焦った中、政府が率先して平等に一人一人の手に行き渡るように考えられた台湾ならではの施策。何より医療従事者など、本当に必要な人にマスクが行き渡れるような体制を、見事に作り上げることができました。

日本と人口や行政の仕組み、IT技術の普及率が異なる中、このシステムをそのまま導入するには課題が色々とあると思いますが、行政と民間で知恵を絞りあい、日本に最も適した「マスクの購入制度」が生まれるのを私も期待したいと思います。

では、次回もお楽しみに!

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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