みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。
今回は台湾電力が新たに発売したマンホール型のコースターについて、紹介していきたいと思います。
早速みていきましょう!
台湾最大の湖、日月潭と大観水力発電所
以前の記事でもご紹介した台湾電力会社のクリエイティブチーム「TPCreative(Taiwan Power Creative)」は、発電や送電の過程で役目を終えたものや廃棄物を利用して、真新しいプロダクトを作ることを得意としています。これまで廃棄された電柱の腕木を使ったベッドサイドランプや、路上の変圧器をリサイクルして作られた鍋敷きなど、アップサイクルを実現したプロダクトの数々を世の中に送り出してきました。
今回目をつけたのは、なんとダムの底に堆積していた土砂。台湾中部にある最大の湖―「日月潭」にある台湾電力管轄の大観水力発電所が今なお稼働していることから、安定的に電力を供給するために、湖の底に堆積した土砂を除去する作業も普段担っており、その堆砂が再利用されることになったのです。
不純物が混ざった堆砂を使って、3年ものあいだ試行錯誤を続ける
今回採取された土砂は身近に使うものとしてコースターの材料となることが決まり、台湾では街中の送電線が地中に埋められていることが多いことから、外観はマンホール型のデザインが選定されました。
ただ堆砂をそのまま利用するのは、決して容易なことではありませんでした。
当初から、ダムの底に堆積していた土砂は水域特有の不純物が混じっているため、その特性から単独で原料として使用するのが難しいことが判明しました。そこで、以前同じチームで「石炭灰」を使ってコースターを作った経験から、堆砂を軽く焼いて成分を均質化させてから陶土を半分混ぜ合わせることで、3年もの時間をかけて試行錯誤を繰り返し、最終的には最適な配合比率で焼き上げることに成功したのです。
一方のコースターとセットで購入することができる「W LOOPグラス」は、電気を表したアイコンとマンホールの柄を表した模様の2パターンを取り揃えており、夏に冷たい水やお茶を注ぐのにぴったりなデザインとなっています。
北部の窯元「台華窯」で焼かれ、特殊な色合いを醸し出す
新北市にある鶯歌(インガー)は、台湾でも有数の陶器の生産が盛んな場所で、このコースターもこの鶯歌に拠点を置く「台華窯」で焼かれました。この窯元で何度も実験を繰り返し、最終的に厚さを5ミリにまで圧縮することに成功し、高温で焼き上げられた泥土はナチュラルな淡いオレンジ色に変色し、一般的な陶器よりも淡くてやさしい色合いに仕上がっています。
パッケージまで、しっかりトータルデザイン
パッケージデザインは、台湾のデザインスタジオ「2 by Wu&Chen」によって手掛けられ、台湾電力会社職員のユニフォームカラーや、焼きあがったコースターの色を使って、モダンに統一されました。またパッケージの資材を最低限に減らすことで、内容物を保護しつつも、台湾電力のサステナブルな理念に沿ったデザインとなっています。
これまで様々なプロダクトを世の中に送り出してきたTPCreativeですが、人々の生活に欠かせない電力を安定的に供給するために、水力発電所の整備作業を担い、その一環で廃棄物として出てきた堆砂を再利用することで、再び人々に使われるものとして新たな価値を与えることを実現しました。環境問題をクリエイティブなアイデアで解決しようとする思いと、ものづくりに携わるすべての人が諦めずに繰り返し試験を重ねたことで誕生した、見事なプロダクトだと感じました。
では、次回もお楽しみに!
商品情報
|オフィシャルサイト
https://www.tpcreativeshop.com/collections/sunmoonlake
|購入サイト(pinkoi)
https://jp.pinkoi.com/product/8i7sJ6y5