みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。
今回ご紹介するのは、今年台北市立美術館のミュージアムショップにて販売された、少し尖った形をしたDIYフラワーベースです。
どのようなコンセプトで作られたのか、早速見ていきましょう!
美術館所蔵の絵画を立体的なフラワーベースに
台北市立美術館が2022年の3月に発売したフラワーベース「世外塵・花器」は、美術館に所蔵されている台湾のアーティスト姚瑞中さんの絵画作品「世外塵-超人累了(臨黃公望「天池石壁圖」)」からインスピレーションを得て、平面的な絵画作品を花瓶に置き換えた、なんとも面白みに溢れたアイテムとなっています。
この絵画作品は姚瑞中さんが2007年から描き始めたシリーズ作品のうちの一つで、中国元の時代の画家黄公望の絵画作品「天池石壁圖」をベースにボールペンを使って模写・再構成した作品です。無数の筆跡を重ねることで青一色の濃淡で山々が連なる姿を表現しており、中国の伝統的な山水画を現代の手法と道具で再解釈しています。
山水画がモダンなフォルムの花瓶に変身
今回フラワーベースを開発するにあたって制作パートナーとして選定されたのが、台湾で植物とアクリルを組み合わせた新進気鋭な作品の数々を生み出している園芸ブランドの「無園芸 WU garden」です。平面的な絵画作品を再解釈すべく、絵の中に潜む細かな模様や色をもとに、作品に描かれていた山々を4つのアクリルでできたDIYパーツと化しました。
それぞれのパーツは一見無意味な形状に見えますが、重ねてみると連なる山々のようになり、絵画の中で表現していた世界観が見事に再現されるようになります。アクリル板の輪郭が複雑に重なり合っているように見え、青のグラデーションが映えるフラワーベースになっています。
花や草を生けることで、美しさをさらに引き出す
組み合わせたアクリル板の中にガラスの容器を差し込むことで、ようやくフラワーベースとして使うことができます。無機質なフォルムのフラワーベースに花や草を生けるという、ある種のコントラストが魅力的な作品になっています。一方で直線的なアクリルのパーツも、実は古くから伝わる山水画に描かれた有機的な山々の形からアイデアをもらっているという、大自然の姿を現代的な手法や思考でアプローチした斬新でユニークな作品のように感じます。
WU gardenはこのように、長年にわたる植物の栽培経験と熱量を活かして、植物と思いもよらない素材を組み合わせることで人と自然の関係性を問い続けた作品を生み出し続けています。クリエイティブなアイデアひとつによって、美術館に所蔵されていた作品が生活空間の中に見事に運び込まれたのです。
現在このフラワーベースは美術館のミュージアムショップか、オンラインにて発売されています。また現地のフラワーアートブランド「Museum of Flowers」ともコラボした、期間限定の生花体験イベントなども開催され、絵画をモチーフにしたフラワーベースの美しさとオリジナリティを最大限に映し出すためのトータルでの施策も考えられています。フラワーベースを新たな境地に昇華させたプロダクトと言えるでしょう。
では、次回もお楽しみに!
商品情報
「世外塵・花器」
|台北市立美術館 オンラインショップ
|WU Garden 公式Instagram
https://www.instagram.com/wu_garden_2020/
|姚瑞中さんのポートフォリオサイト
https://www.yaojuichung.com/