3月15日は「靴の記念日」ってご存じでしたか? 語呂合わせで覚えられる9月2日(くつの日)の方が有名な気がしますよね。日本記念日協会の公式ホームページでは、9月2日を正しくは「ダイアナの靴の日」として認定していましたが、3月15日の「靴の記念日」の方が古くて長い歴史を持っていたんです! 今回は、そんなふか〜い歴史ある3月15日「靴の記念日」についてご紹介します。
どうして3月15日?
3月15日は、日本で初めて「西洋靴の工場」ができた日なのです!
今からおよそ150年前の1870年3月15日、築地入船町(現在の東京都中央区入船)に日本で最初の西洋靴の工場が建てられました。下駄や草履が一般的だった時代の西洋靴工場…明治維新と新時代のうねりを感じちゃいますね…!
記念すべき工場の名前は「伊勢勝造靴場」。
実業家として活躍していた西村勝三が国防軍からの命を受け、軍隊用の工場として創設しました。ちなみに「伊勢勝」は西村勝三の通称なんだとか。その後「伊勢勝造靴場」は名前を変え、今や日本最古の老舗靴ブランド「リーガル」へと進化を遂げています。
「リーガル」といえば、革靴を扱う店には必ずあるといってもいいほどの有名ブランドです。
軍靴を作っていた当初は、外国人と日本人の体格の違いを無視して製造していたそうです。
現代でも海外ブランドの洋服、特にボトムスを試着した時、「丈が余っちゃって合わない!自分はなんて足が短いんだろう…」と落ち込んでしまうこと、ありませんか? (私はよくあります! 笑)
「伊勢勝造靴場」では、日本人の足型に合わせて靴の土台作りから研究したそうです。この時作られた木型は、改良を重ねた上で現在でも使われているんですよ!
靴も同じように、日本人の体型に合った型を採用した方が、履きやすくて歩きやすいということですね。
自分に合う靴を探してみよう!
記念すべき「靴の記念日」にちなんで、自分に合う靴を探してみるのはどうでしょう?
最近はネット通販で買い物を済ませてしまう人が多いと思いますが、靴を選ぶなら断然、お店に足を運ぶことをおススメします!
一般社団法人 靴と足の健康協議会に認定された「シュ-フィッター」のいるお店なら、専門家の観点からあなたに合った靴を見つけてくれますよ!
チェックするときは、かかと・指の付け根・つま先・ヒール・アーチ(土踏まず)の5点に注目すると良いそうです。チェックするときのポイントも簡単に書いておきますね。
かかと
合わせるポイントはつま先ではなく、かかと! これが基本です。
指の付け根
良く動かして合っているかどうか確認しましょう! 軽くつま先立ちしてみて、無理なく曲がるかどうかを見てくださいね。
つま先
靴の先に1cmほどの空きが出来るものを選びましょう。締め付けるようなものはNGです。
ヒール
ヒールの位置がかかとの中心にあるものを選びましょう。ずれてしまうと、体全体のバランスが悪くなり、姿勢が崩れます。
アーチ(土踏まず)
土踏まず部分に足がぴったりと沿うのがベスト! また、柔らかくてフニャフニャしたアーチでは人間の体重をうまく支えることができず、足の裏に大きな負担となってしまうので注意が必要です!
自分にぴったりと合った靴というのは、不思議と何年も履き続けられるんです。靴選びは本当に奥が深いですね!
「靴を贈るのはマナー違反」とされている?
さて、日本で初めての西洋靴工場が出来てから、私たちの暮らしもどんどん変化していきました。
最初こそ上流階級の特権でしたが庶民にも手に入るような値段になり、今や400円もあれば安価な靴も買えちゃう時代に…!
しかし、「靴を買う」文化は根付いたものの、「靴を贈る」文化はあまり馴染みがないはず。というのも、靴の本場であるドイツをはじめ海外では、靴をプレゼントするのはタブーとされてきたからです。プレゼントされた靴で浮気相手のところに行ってしまうから…と考えられているみたいですよ。
日本でも、「履き捨てる」という言葉が連想されることから「贈り物には良くない。マナー違反だ! 」と考える人も多いのだとか。しかし、最近ではお祝い事でプレゼントされるケースも出てきたんです! それが、こちら!
ファーストシューズ
ファーストシューズとは、赤ちゃんが生まれ初めて履く靴のこと。 記念すべき人生の第一歩をお祝いするという欧米の習慣から来ていて、親しい友人や家族からファーストシューズを贈られると、幸せにすくすくと育つと考えられています。
日本でも少しずつ普及してきているようで、子供服ブランドにはファーストシューズ用の可愛い靴がたくさん出ています。見ているだけで可愛いですし、意味合いもとっても素敵ですよね!
お気に入りの靴でどこまでも
靴は私たちの人生に無くてはならないものになりました。靴一つ変わるだけで気持ちも、身体も、生き方も変わってくるのではないでしょうか。
最後に、靴にまつわる素敵な言葉を紹介して今回の記事の締めとしようと思います。
『だから、何よりも僕は、あの人がたくさん歩きたくなるような靴を作ると、そう決めた。』
(引用:「小説 言の葉の庭」新海誠)
大ヒット映画「君の名は」で有名な新海誠監督の、「言の葉の庭」の一節です。
靴職人を目指す主人公の高校生が、人生に疲れて前に進むことが出来なくなった教師を想い、つづった言葉です。
靴は、私たちを色々な場所に連れて行ってくれる道具であり、明日への一歩を踏み出す勇気をくれる人生のパートナーなのかもしれませんね。