みなさん、「愛」と「希望」と「勇気」を一度に感じることができる記念日があるってご存知でしたか!? その名も「愛と希望と勇気の日」(そのまま!笑)
今回の記念日には、その名前に負けないくらいの奇跡と、ある犬が由来になっていたんです。一体どんな記念日なのか…そこには、涙なしには語れない絆の物語がありました。
どうして1月14日が「愛と希望と勇気の日」ナンスカ?
「日本記念日協会」にはこのように記されています。
1959年(昭和34年)の今日、南極観測船「宗谷」の一行が昭和基地に着いたとき、その前年、心ならずも置き去りにしたカラフト犬タロとジロが生きているのを発見した。この2頭の犬の勇気をたたえ、生きることへの希望と愛することの大切さを忘れないために制定された。
“あの犬”は、タロとジロのことでした!
この話を知った当時は“南極で生き延びたすごい犬”という認識しかなかったものの、その背景を知れば知るほど、「愛と希望と勇気」の物語だなと思わずにはいられません。
南極観測隊とタロ・ジロの間には、一体どんなストーリーがあったのでしょうか?
敗戦後の日本にとって、「南極調査」は大きな意味を持っていた
1958年(昭和33)年、南極観測船「宗谷」で11人の隊員と15頭の樺太犬が東京港を出発しました。
昭和33年は、山崎貴監督の日本映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の舞台となった年です。戦争の傷を残しながらも上を向いて歩いていこうとする、高度経済成長一歩手前の日本から、タロ・ジロの南極調査が始まりました。
当時の南極は誰も調査したことのない未開の地で、世界各国が協力をして観測や調査を行いました。世界大戦の敗戦国である日本が、世界の国々と協力して事業に取り組むという事には、大きな意義があったことでしょう。
同時に、「絶対に失敗できない」「少しでも功績を残さねば」といったプレッシャーを背負っていたことも容易に想像できますね。
南極調査成功のカギは、タロ・ジロら「樺太犬」だった!
整った設備や機械も少なく、予算も不十分な状態で調査を行う…そんな中で重要な役割を果たしたのが、樺太犬でした。
樺太犬は、樺太原産の犬で、牛や馬の代わりにそりを引くほどの力持ち。優しくて穏やかな性格で、寒さに強いモフモフな犬種です。
日本の南極観測隊にそり引き犬として同行した樺太犬でしたが、移動の手段だけではなく、隊員たちの精神面をもサポートする存在だったのでしょうね!
置き去りにされたタロ・ジロと、断念せざるを得なかった調査
順調に調査を進めていた調査隊ですが、第二次越冬中、昭和基地から140キロ離れた海上で氷に阻まれ、身動きが取れなくなってしまいます。
隊員の命の危機に際し越冬中止を余儀なくされた調査隊でしたが、救助ヘリには重量制限があり、15頭の樺太犬を同行させることはできませんでした。
また、南極の生態系を守る為にも、鎖につないだまま置き去りにする他なかったといいます。大切な仲間である犬たちを置き去りにするしかなかった隊員たちの気持ちを考えると、身を切られるような辛い気持ちになりますね。
タロ・ジロはどうして1年間も生き延びることができたのか
調査隊が再び南極を訪れたのは、翌年1959年(昭和34)年のことでした。ヘリコプターで2頭の生存を確認したときの感動は、きっと言葉にできないくらいのものだったと思います。
タロ・ジロが極寒の南極でどうやって生き延びたのかについては色んな推測がたっているみたいです。
・若くて体力があった
・運よく首輪が抜けた
・エサになる動物やその糞がたくさんあった
・タロ・ジロが生きることを諦めなかった などなど…
他にも、「ロシア調査隊からエサをもらっていた説が有力だ」という見解もありますが、目に見える証拠がないため断定はできません。
しかしヤマシタは、「タロ・ジロが生きることを諦めなかった」のが一番の理由ではないかと思っています。
彼らの生きる目的が何だったのかを知ることはできませんが、首輪抜けできずに餓死した仲間の死体を食べていなかった事実や、昭和基地の近くで発見されたこと、1年ぶりの再会に尻尾を振って答えたことから考えると、「南極調査犬としての使命」がタロ・ジロの生きる意味だったのかもしれません。
こうして、タロ・ジロが生きていたというニュースは、世界中の人たちの心に愛と希望と勇気を刻んだのです!
タロ・ジロのその後と、映画『南極物語』
ジロは第4次越冬中に南極でその命を終えましたが、タロは5年後に日本に生還して北海道で余生を過ごしたそうです。
1年間もの長い間、奇跡的に生き延びたタロ・ジロの物語は、1983年にも映画『南極物語』として公開され大ヒットを記録しました。
主演:高倉健さんの心に迫る演技と、北極・南極の雄大な自然に圧倒される名作です。タロ・ジロを置き去りにすることが決定した時に、こぶしを握り締めて壁を叩くシーンがあるのですが、涙なしには見られません…。
映画なので事実と異なる部分もあるようですが、観測隊員の想いがぎゅっと詰まった作品だと感じます。
タロ・ジロは亡くなった後も、多くの人々に愛と希望を伝え、生きる勇気を与え続けているんですね!
1月14日「愛と希望と勇気の日」は、「生きること」に正面から向き合える日!
タロ・ジロが残してくれた感動は、今も私たちが目にできる形で残っています。
「愛と希望と勇気の日」の記念日を通して、自分が何のために生きるのか、じっくり考えてみるのもいいかもしれません。
現在、タロは札幌市の北海道大学植物園、ジロは国立科学博物館(東京・上野)に展示されていますので、ぜひ会いに行ってみてくださいね~!