2020.02.08

東日本は2月8日、西日本では12月8日に行われる「針供養」ってどんな文化?

針供養のメイン画像

熊手や破魔矢、お守りをお焚き上げするように、役目を終えた道具の供養をする習慣が日本には存在します。

今回紹介する「針供養」も、その一つなのですが開催時期や供養の仕方が一風変わっていてとっても面白いんですよ!

今回は、実際に目の前で見たら微笑まずにはいられない「針供養」について紹介します。

針供養は、豆腐やこんにゃくに針を刺す祭事!?

豆腐

日本には、「全ての物に神様が宿る(八百万の神)」という考え方が根付いていますよね。

針供養も、折れたり曲がったりして使えなくなった縫い針と、そこに宿る神様に感謝の想いを込めて供養する行事です。供養することで、裁縫技術のさらなる上達を願うんですね。

針供養の面白いところはズバリ、供養方法です。どんな方法かというと、「壊れた針を豆腐やこんにゃくに刺すこと」なんです!

地域によってはおもちに刺して供養することもあるようですが、共通するポイントは「柔らかいもの」に刺されていることです。これは、それまで固い布ばかり刺していた針たちに、今度は柔らかいものを刺して休んでもらおうという心遣いなんだそうですよ。

また、豆腐・こんにゃく・もちには「白い食材」多いという共通点もあります。

ここには、裁縫と女性の切っても切り離せない深い関係がありました。

お江戸女子にとっての裁縫は、生きるための必須技術だった?

針供養のイメージイラスト

昔の女性にとって、裁縫はとても重要な技術でした。どれくらい重要だったかというと、「裁縫ができないとお嫁にいけないよ!」と言われていたくらいです。良いお家柄の男性に嫁ぐことが使命だったお江戸女子にとって、裁縫は生きるために必須の技術だったんですね。

つまり、「裁縫が上手くなりたい」というのは女子全員の願いであり、その技術向上を願う針供養はとっても大切にされた行事だったのでした。

そして、針供養に白いものが使われる理由の一つには、美肌・美白になるようにと願いを込めたという説もあるんです。美容に気を遣っている感じが女の子らしくて可愛いですね。

こんな点からも、江戸時代の女性にとって重要な行事だったことが分かりますね。

東西で違う「針供養」の時期。東日本は2月8日、西日本は12月8日なのはなぜ?

さて、そんな針供養の開催時期ですが、28日に開催する地方と、128日に開催する地方、そしてどちらも開催する地方に分かれるそうです。一体どうしてなのでしょう。

針供養には、「事始め」「事納め」が深く関係していた

針供養の時期の違いは、「事八日(ことようか)」という日本ならではの考え方が影響しているようです。

「事八日」は、物事を始める「事始め」や、事に区切りをつけて納める「事納め」が執り行われる日で、128日と28日の2日間開催されます。

「事」は、「コトノカミ」という神様とその祭を指します。つまり「事八日」とは「コトノカミを祭る日」となりますね。

このコトノカミを、1年をつかさどる「年神」と捉えるのか、農耕をつかさどる「田の神」と捉えるのかで、針供養の開催時期が変化します。

コトノカミが「年神」の場合

コトノカミを「年神」とした場合、正月に神様を迎える準備を12月ごろから始めます。

門松やしめ縄や、大掃除もその一つですが、そういった準備を始めるのが128日の「事始め」となるわけです。

そして、正月に神様を迎えた後、後片付けまですべて終えるのが28日の「事納め」になります。

コトノカミが「田の神」の場合

正月が終わると、春に向け農耕の準備を始めます。農具の手入れや収穫の計画を立て、豊作祈願をするのです。これが、28日の「事始め」になります。

そして128日、1年間たくさんの恵みをくれた田の神に対し、「事納め」の祭を捧げることで感謝の意を示すのです。

東日本と西日本で針供養の開催時期が異なるのは、何をコトノカミとするかの違いなのですね。そして、128日と28日のどちらも針供養をする地域は、両方のコトノカミ様に対して祭を行っているということなのでしょう。

同じ行事なのに、開催時期が真逆なんて面白いですよね!

針供養は、女性を守る神様がいる神社や社寺で行われている!

神社のイメージ
イメージ

針供養で有名な神社は、和歌山の加太にある淡嶋神社です。針供養は毎年28日に執り行われます。(和歌山市観光協会のホームページ

淡嶋神社に祀られている少彦名命(すくなひこなのみこと)は医薬に詳しく、裁縫の道を初めて伝えた神様だといわれています。そのため、「女性のための神社」として今も多くの女性に支持されているんですって!

特に、恋愛成就や婦人病・安産祈願などが女性に大人気! また、ひな人形などの人形供養でも有名で、境内には数えきれないほどの人形が奉納されています。

生まれてきた女の子の健やかな成長を祈る「雛祭り」から、立派に成長した女性の仕事を支える「針供養」、そして次の世代へと命を繋ぐ「安産祈願」まで。女性の一生を支える神社なんですね!

「針供養」は物を大切にする心と向上心を教えてくれる行事

針供養は現在、一般の家庭では行わなくなってしまいましたが、各地の神社や服飾関係の企業、高校・専門学校などでは年中行事として執り行われています。

大切な伝統文化の一つとして、後世に伝えていきたいですね!

裁縫や針仕事には関係がないという人は、物に宿る神様に感謝する日にしてみるのはいかがでしょう?

ヤマシタも、仕事道具のPC・マウス・タッチペンを磨くところから始めたいと思います!!

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ヤマシタサイロ

ヤマシタサイロ

鹿児島県出身。地方都市にて広報や商品開発等の観光PR事業に携わりながら、その土地のおいしい物を食べるのが楽しみで仕方ない食いしん坊ライター。音楽と猫とコーヒーがあれば無敵。

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