どもー!今月のナンスカピーポーは写真家の浦芝眞史(うらしばまさし)さんです。
1988年大阪生まれ、関西大学 法学部 政治学科卒業後、ビジュアルアーツ専門学校の写真学科に入学。卒業後、「1_WALL」グランプリを受賞されるなど、大阪を拠点に様々な媒体で活躍されています。
彼との出逢いのキッカケは、先日京都のBnA Alter Museumで企画した写真家 平松市聖さんの個展に、平松さんがトークショーの相手として浦芝さんをお誘いしたことです。挨拶した瞬間にこの人と仲良くなりたい! と感じたのを覚えています。第2弾でご紹介したアーティストのAICONさんの時と同じ現象です。笑
トークショー後はアルコールを片手に皆んなで鴨川祇園あたりをブラリしたのですが、作品の魅力は勿論、彼のオープンマインドで人に安心感や笑いを与えるサービス精神から、自然と活動を応援したいと思えました。
そんな浦芝さんの実現したいことや今の活動に至ったターニングポイントについて伺って参ります!
世界中の人々を救いたくて、国連への就職を目指した
__浦芝さんは大学で政治を勉強されていたのですよね。
そうなんです。高校生の頃に世界中の人々を救う仕事がしたいと考えていて、それなら国連に勤めるのが適切なのかなと思い、最初、関西外大のスペイン語学科に合格するんです。でも自分には語学を極める事よりも世界情勢を知る必要があると思い直し、関西大学の政治学科への入学を選びました。
__そこからどのように写真の道へ進まれるのですか?
話は中学生の頃に遡ります。当時の社会の先生が「インドは良いところだぞ〜」と話していたのがずっと頭の片隅にあって、大学生の時にバイト仲間3人でインド旅行へ行ったんです。
インドでは路上で普通に人が寝てるし、電車はクーラーがなくても普通だし、私にはその自由さが楽園に思えました。
実は日常的に、世の中のこうあるべきという強要に違和感を感じながらも、その事を誰にも話さずに、周りに合わせて生きていました。例えば日本の過剰サービスや、お葬式でなぜ笑ってはいけないのだろう、とかから始まり、疑問に思うことは沢山あって。
インド旅行の最中は財布を奪われたり、ぼったくられたこともありましたが、感動の方が上回って気にならなかったですね。
__潜在的にずっと自由を追い求めてたのでしょうね。その後、生活に変化はありましたか?
インドから帰ってしばらくして、周りが就活にあけくれているのに習っている自分がいました。目指していた国連は、自分が頑張ったとしても、就けるとしたら事務職員になりそうで、完全に目標を失っていました。
物作りが好きという観点から、部品メーカーに就活して、営業部署に内定をもらったんですが、本当に自分がやりたいことなのか、先が見えずにいたんですよね。
そんなある日、大学のパンフレットに使う建築写真を撮影している方と学内でバッタリ会い、東京で写真家・古屋誠一さんの展示会があるよと教えていただくんです。これは「行かなきゃ!」と導かれるように夜行バスに乗って東京へ向かいました。
写真展名は「Memoires.」。古屋誠一さんの自殺した奥さんの写真や日常の風景が展示されていたのですが、まるで古屋さん自身になったかのように、奥さんを愛おしいと思えるほどに美しく撮影されていて。私も作品を世に残して人々に感動を与えたいし、誰かの生きる糧になるような物を作りたいと、強く感銘を受けたんです。
それまでは趣味程度に風景写真を撮っていたのですが、徐々に人物写真に移行して行きます。その後、部品メーカーさんからいただいた内定を断り、ビジュアルアーツ専門学校の写真学科に入学し、写真家への第一歩を踏み出します。
台湾でのひとり旅で自分と向き合ったことで生まれた作品たち
__その日を境に世の中の”当たり前、こうすべき”という呪縛からも解き放たれたのですね。今の作風に行き着いたキッカケはありましたか?
当時、セクシャルマイノリティーである事をカミングアウトせず悩んでいた私は、2013年に台湾を一人旅をした際に、SNSやバーでゲイの人達と出逢い、多くの人がセクシャルマイノリティーであることに特段悩んでいないことを知ります。凄くカルチャーショックでした。(ちなみに台湾では今年5月から同性愛者での結婚が合法化されました。それだけセクシャルマイノリティーに理解のある国だったのです。)
そのゲイバーで仲良くなった人達やたまたまゲストハウスで出会ったペインターの方等の写真を撮らせてもらった日から、男性の肌と植物にフォーカスした「Vitamin Boys」というZINEを作ります。その後も日本で制作を続け、1_WALLグランプリを受賞した作品「ゆく、ふれるやいなや」が生まれます。その流れで個展「身体の森で」をさせていだいたり、TOKYO ART BOOK FAIRに出展したZINEが選ばれてニューヨークで展示されたりなど、次々と転機が訪れました。
作品を鑑賞してくれた人の「生きる糧」になるような写真を届けたい
__写真って正直で、皆さん作品から浦芝さんが人と真摯に向き合っているのを感じるのでしょうね。これから「実現したいこと」はありますか?
自由を教えてくれたアジア圏で一度暮らしてみたいですね。今は専門学校の学科長をしていたりと、海外暮らしはハードルが高いのですが、アーティストインレジデンスはいつか経験してみたいなと考えていて。話に聞くと場所によっては様々な表現者との共同生活が出来るようで、実現したらまた新たな価値観に触れたいですね。
あ、あとドイツも良いなあと思っています!
それから、美術館で展示がしたいし、作品集も出したいし、言いだしたらキリがないのですが、一貫して言えるのは、私の作品が私自身をどこかへ連れて行って欲しいと思うし、そしてやっぱり作品を鑑賞した人の生きる糧になって欲しいです。その想いを主軸にしていると、写真以外の表現方法も、今後模索の余地があるかもしれませんね。
__素敵だなぁ。そう立ち返ると、高校生の時に描いていた、世界中の人々を救いたいという想いから変わらないのですね。ちなみに、撮りたい有名人とかっていたりするんですか?
あ、妻夫木聡さんや中尾明慶さんを撮りたいです!笑
__わー撮って欲しいなあ〜!笑 最後に、告知やご覧下さっている皆様へメッセージがあればお願いします!
11月に大阪で写真展を行いますので、お近くにお住いの方は、ぜひご覧いただけたらと思います。
浦芝眞史写真展 「スパークリング in 森」
会期:2019年11月16日(土)~12月1日(日)
会場:Galerie de RIVIERE
時間:12:00-19:00 | 入場は18:30まで (土曜日、日曜日のみ営業)詳細はこちらから
https://riviere-g.urdarkroom.com
__浦芝さん、ありがとうございました!
次は映像ディレクターの外売募さんです。お楽しみに〜!
浦芝眞史プロフィール紹介
浦芝眞史(うらしば・まさし)
1988年大阪府生まれ。
2011年関西大学法学部政治学科卒業。2013年ビジュアルアーツ専門学校・大阪 写真学科卒業。
2015年、男性のポートレートを撮影した作品「ゆく、ふれるやいなや」で第13回写真「1_WALL」グランプリを受賞。大阪を拠点に制作中。
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